【杉村富生の短期相場観測】 ─短期的には波乱含みだが、懸念は無用!



「短期的には波乱含みだが、懸念は無用!」

●トランプ政権の成長戦略は日本企業にプラス!

 メジャーSQ(先物・オプション取引の特別清算指数算出)前日(先週12日)の値動き(大幅高)は「異常」との認識が必要である。これまで日経平均株価は11月SQ値(3万9901円)を一度も上回っていなかったが、この日は瞬間4万0091円の高値まで買われた。11日のナスダック指数]の急伸(史上最高値)、および[[stock/0950/chart|円安傾向を好感したものだろう。

 しかし、実際はSQを控え、売り方と買い方のせめぎ合いが展開され、結果的に売り方の踏みが入った、との見方ができる。それに、ここでの円安は特殊要因による。すなわち、通常月の3倍近くに膨らむNISA(少額投資非課税制度)の外貨資産取得、年末年始を前に輸入業者のややロングのドル手当て(普通は当用買い)である。

 さらに、日本生命保険の米レゾリューションライフ買収(1.2兆円)のニュースがあった。内→外の巨額M&Aはドル調達を通じ、円安要因になる。過去のケースでは8~10円の円安に振れている。今回は金額的に1~2円の影響だろう。欧米各国は利下げラッシュだ。こんな局面において、一段の円安は考えにくい。この点には注意を要する。

 マーケットでは12日の動きだけを受け、「相場の流れは変わった」とか、「為替は1ドル=160円を目指す」などの声が聞かれた。これは違う。繰り返しになるが、12日の値動きは「異常」だ。この局面では冷静さが求められる。カナダの0.5%の利下げに続いて、ECB(欧州中央銀行)は0.25%の利下げに踏み切った。利下げラッシュである。

 アメリカは17~18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げに進むだろう。円安が進行すれば日銀は18~19日の日銀金融政策決定会合において、今年2回目の利上げを断行する可能性が濃厚だ。要するに、為替を睨んでの金融政策である。まあ、ここは為替の変動(急激な円安)は避けた方が良いと思う。

●来年の日経平均株価は5万円台を指向!

 もちろん、これは短期的な視点だ。長期的な上昇トレンドは崩れていない。2025年の日経平均株価は5万円の大台乗せを目指すだろう。筆者は現在、来年の「重大ニュース」を作成中だが、上位にはウクライナ戦争終結、大規模地震、大型M&A続出、資源価格の暴落、超円高、政権交代などが入っている。

 自然災害の多発はネガティブ材料だが、その他は株高要因だ。トランプ次期政権は明確な成長戦略を打ち出している。自動運転、無人タクシー、宇宙開発、人型ロボット、AI(人工知能)、 暗号資産などの最先端分野でのデファクト・スタンダード(事実上の国際標準)獲得を狙っているのは間違いない。このメリットを日本勢は享受できるだろう。

 暗号資産ではビットコインETF(上場投資信託)が世界的に人気だ。しかし、日本では買えない。これは金融庁の監督指針による。このため、この資金がコインベース・グローバル<COIN>、セレス <3696> [東証P]に向かっている。投資家は何とか、活路を見出そうとする。暗号資産はトランプ次期政権の戦略商品である。

 トランプ次期政権が日本に対し、防衛費の増額を求めてくるのは目に見えている。さらに、朝鮮半島情勢はきな臭い。中期的には「台湾有事」もある。東京計器 <7721> [東証P]、日本アビオニクス <6946> [東証S]、三井E&S <7003> [東証P]は切り口多彩だ。三井E&Sはアメリカ向け港湾クレーンに期待できる。息の長い相場になろう。

 このほか、電力設備投資関連のフジクラ <5803> [東証P]、ダイヘン <6622> [東証P]はまだまだ上値を残している。個別銘柄ではスキマバイトサービスのタイミー <215A> [東証G]、ゲームソフトのバンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]、出直りの精工技研 <6834> [東証S]、CADのジーダット <3841> [東証S]などに妙味があろう。

2024年12月13日 記

株探ニュース


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