【植木靖男の相場展望】 ─トランプご祝儀相場の後は?



「トランプご祝儀相場の後は?」

●お祭りの賞味期間は10日ほど

 東京市場は強い基調で推移している。トランプ氏の大統領就任に合わせたような上昇である。それまで日経平均株価は1月8日から5日連続安をみせ、さらに17日には3万8000円割れ寸前に迫ったが、幸いにも就任式の1月20日を境に反騰に転じたのだ。その後、米国株高に呼応して、この週末には一時4万円大台乗せとなった。

 では、なぜ米国株は強いのか。その背景には、トランプ大統領が21日、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]を中心にオープンAI、オラクル<ORCL>などが、米国のAI(人工知能)インフラ構築事業に巨額投資をすると発表したことがあった。トランプ大統領が就任演説で語った「米国の黄金時代の始まり」を市場関係者にあらためて印象づけることになったのだ。

 だが、「黄金時代」が本当に到来するかはともかく、今回の株高がご祝儀相場の色彩を持つことは否めない。だとすれば、期限はせいぜい1週間、10日間ぐらいと思われる。お祭りはそれほど長くは続かない。

 では、お祭りが終わったら、米国株はどう展開するのか。その後の下げが小さく、再び上昇に転じるとすれば、これは本物だ。2024年相場の再来で2025年も明るい見通しとなろう。

 ともあれ、トランプ大統領は必死だろう。彼は米国の製造業を回復させるため、高関税政策を武器にして生産を米国に移転しようとしている。米国の焦りが透けてみえる。その背景には、米国のドルの基軸通貨としての力が弱まっていることがある。かつて筆者が若い頃、金(ゴールド)の価格は1オンス200~300ドルだった。それがいまや3000ドル近くだ。ドルの凋落は著しく、米国そのものの地位も低下している。

 トランプ大統領の高関税政策が成功すればよいが、果たして結果はどう出るのか。

●不動産、電力・ガス株の人気再燃に期待

 東京株式市場は当面は米国株次第だが、中長期的には不安は乏しい。これまで米国株高、日本株安が長く続いただけに、2025年は逆に米国株安、日本株高となる可能性が大きいとみる。

 もっとも、そうなるには条件がある。世界の投資資金が証券や他経済分野を通じて日本に流入することである。この10年間は日本の資金が海外に流出したことで日本経済は浮上できなかった。2025年はどうか。最も注目すべき点だ。資金が海外から戻ってくれば景気も、株価も大転換となろう。期待したい。

 さて、当面の物色銘柄をどうみるか。米国のテック株の人気再燃で一部主力の半導体株が戻り始めている。また、AI絡みでデータセンター関連の電線株やハイテク株が買われているが、再び 電力・ガス株にも人気が移行しつつある。さらに値がさ株から中低位の好業績銘柄で、出遅れ修正の動きもみられる。

 週末、値上がりトップに一時、 不動産株が久々に登場したことも一考に値する。米国での不動産関連株の上昇もあるが、過去にもハイテク株から不動産株への人気移行がみられた。注目したい。

 以上より今回は、不動産から値動きの大きい住友不動産 <8830> [東証P]やデータセンター絡みで電力・ガス株の人気再燃に期待したい。

 このほか、内需の建設から大林組 <1802> [東証P]、またトランプ関連で防衛株もなお人気が続こう。三菱重工業 <7011> [東証P]も短期ではまだ余熱を残していそうだ。また、エンジニアリング関連では日揮ホールディングス <1963> [東証P]がきな臭い。

2025年1月24日 記

株探ニュース


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