田部井美彦氏【2月相場は波乱の幕開け、逆張り好機か見送りか】(2) <相場観特集>



―トランプ政権の関税強化でリスクオフに染まる株式市場―

 週明け3日の東京市場は日経平均株価が大きく下値を試す展開となった。前週末の米株安を受け軟調な地合いが予想されるなか、朝方に米株価指数先物の下げを横目にリスク回避目的の売りが主力株を中心に噴出した。先物主導で日経平均は3万9000円台を大きく割り込み、一時1100円を超える下げに見舞われた。トランプ政権によるメキシコなどへの追加関税発動が現実化する方向で、一気に緊張感が高まっている。ここからの株式市場の展望について松井証券の窪田朋一郎氏と内藤証券の田部井美彦氏の2人に意見を聞いた。

●「米関税巡る警戒感は徐々に落ち着く、高配当利回り株など注目」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 3日の東京市場は、トランプ米大統領によるカナダ、メキシコ、中国に対する関税発動で大幅な下落となった。米国の関税引き上げに関しては先延ばしされるとの見方もあったが期待外れとなった格好だ。ただ、対象国がたとえ報復措置に出たとしても対話が進むことで、徐々に落としどころは見えてくると思う。今月19~22日には米保守派の大規模集会である「保守政治活動会議(CPAC)」も開かれるが、今後は減税や規制緩和といったマーケットフレンドリーな政策が打ち出されることも期待できるだろう。相場は往来圏にあるとみており、基本的には底堅い展開は続くとみている。

 中国の新興企業が開発したAI「ディープシーク」の影響も注目されるが、高性能AIの登場は使う側にはプラス要因となる側面もある。今後の評価が待たれるところだが、過度の警戒は不要ではないか。また、日本では第3四半期決算が本格化しているが、増配や自社株買いを発表する企業も増えることが期待できるだろう。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価は3万8000~4万円前後のレンジ相場を予想している。相場は徐々にレンジの上限へと切り上がる展開が見込めると思う。個別では、「高配当利回り」や「自社株買い」が見込めるような銘柄が見直されそうだ。不動産では野村不動産ホールディングス <3231> [東証P]、商社では三菱商事 <8058> [東証P]、建設では大林組 <1802> [東証P]などだ。調整局面にある半導体関連株も注目でき、レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]などに妙味がありそうだ。更に、通信関連の高配当利回り銘柄としてソフトバンク <9434> [東証P]にも期待している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。


株探ニュース


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