【杉村富生の短期相場観測】 ─元気なスタンダード市場にマトを!



「元気なスタンダード市場にマトを!」

●トランプ大統領、「殿、ご乱心か?」

 アメリカ市場がにわかに、荒れ模様の展開となっている。1月20日の就任以来、トランプ大統領の再登場はマーケットに好意的に受け止められてきた。しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼び、レアメタルの権益を「譲れ」と発言するなど、「これはちょっとやばいぞッ」と、警戒心が台頭している。

 ウクライナ戦争はロシアの侵攻によるものだ。非は絶対的にロシア側にある。トランプ大統領は「選挙をやっていないし、支持率は4%と低い」と主張するが、これはロシアの“宣伝”だ。確かに、大統領の任期は昨年5月に切れている。だが、ミサイルが飛び交っているのに、大統領選挙をやれる状況か。

 それに、ゼレンスキー大統領の支持率は57%と高い。トランプ大統領は公約のウクライナ和平を急ぐあまり、国際法違反のロシアに譲歩しすぎている。領土割譲もそうだ。まるで「殿、ご乱心か」といった状況ではないか。これではウクライナはもとより、ヨーロッパ諸国は絶対に納得しないだろう。

 一方、為替は円高に振れている。指摘しているように、昨年12月3日の1ドル=148円65銭を突破されると、円高が加速する。日銀は3月18~19日の日銀金融政策決定会合において、利上げを検討している、という。円安対策の面がある。政府はトランプ関税回避のために、「円高誘導」(交換条件?)を画策しているのではないか。

 いずれにせよ、ハイテク(主軸)セクターはしばらく手掛けづらい。日経平均株価は上昇しないと思う。日本の生保は国内債券で11兆円の損失を被った、といわれている。この処理は含み益を持つ主軸株との「合わせ切り」しかない。さらに、3月決算期末に向けて、持ち合い解消の売りが出る。

●投資ファンドは銘柄の入れ替えを急ぐ!

 繰り返しになるが、物色の流れは劇的に変わる。ウォーレン・バフェット氏はアップル<AAPL>を大量に売却、相場巧者のスタンレー・ドラッケンミラー氏はエヌビディア<NVDA>を昨年に売りまくった。ドラッケンミラー氏は最近、テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ<TEVA>、デルタ・エア・ラインズ<DAL>などを買っている、という。

 銘柄の入れ替えは他の投資ファンドにもみられる。いつまでも主役は大相場を演じた巨大IT企業、AI(人工知能)企業ではない。プロは素早い。これについてはここ数週間、筆者が唱えてきたことではないか。まあ、強気の声が満ちあふれている状況下、あまり聞いてもらえなかったが……。

 日本市場では上昇第1段階、第2段階の国際計測器 <7722> [東証S]、富士急行 <9010> [東証P]、ローム <6963> [東証P]、住友化学 <4005> [東証P]、東京電力ホールディングス <9501> [東証P]、セルソース <4880> [東証P]、インフォメティス <281A> [東証G]、ウッドワン <7898> [東証S]などに引き続いて注目できる。

 市場別ではスタンダード市場が相対的に強い。やまみ <2820> [東証S]、日本鋳鉄管 <5612> [東証S]、アドバンテッジリスクマネジメント <8769> [東証S]、川崎地質 <4673> [東証S]、日水コン <261A> [東証S]、イトーヨーギョー <5287> [東証S]などがそうだ。テーマとしては上下水道(インフラ)再生の流れがある。

 さらに、ゼット <8135> [東証S]、横浜魚類 <7443> [東証S]、フジコピアン <7957> [東証S]などが人気を集めている。ロココ <5868> [東証S]は2024年12月期に記念配(10円)を含め、30円配当とした。今期は普通配5円増の25円とするが、業績は急浮上に転じている。旧ジャニーズ事務所(主要取引先)絡みのダメージは克服した、という。

2025年2月21日 記

株探ニュース


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