【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ トランプ3%要求が巻き起こす上昇気流!防衛関連に注目



「トランプ3%要求が巻き起こす上昇気流!防衛関連に注目」

●重大な節目に差し掛かった米国市場

 トランプ米大統領の頭の中はどうなっているのか。常識でそれを推し量るのは困難だとは分かっているが、それにしても度が外れている。株式市場も同様の思いのようで、S&P500種指数は大統領就任式の4日後に付けた高値6128ポイントから急落し、この原稿を書いている時点では5738ポイントとなっている。

 2024年11月5日、トランプ氏が大統領に選任され、翌6日の株式市場は祝福買いで急騰したが、当日の高値は5936ポイントだった。注目したいのは、直近の株価はそれを下回り、当選が明らかになる直前に戻っているのだ。つまり、トランプ歓迎相場は完全にスタート地点に戻ってしまっており、米国市場は今、明らかに大きなというより、重大な節目に差し掛かっていることになる。

 トランプ政権には株式投資の専門家が加わっている。財務長官のスコット・ベッセント氏だ。ベッセント氏は著名投資家のジョージ・ソロス氏の下で働いたキャリアの持ち主。そんな人物が財務長官なのだから、暴落を防ぐ術を心得ているとは思うが、S&P500のこれ以上の下落は防いでほしいものだ。ブレーキがかからなくなってしまう恐れがあるからだ。

 こんな気掛かりな材料がある上に、われわれ投資家はさらに大きな懸念に直面させられている。それは、トランプ大統領の関税引き上げ策がもたらす経済の混乱と肩を並べる大きな「懸念」だ。世界が軍拡競争に入る。これになる。改めて書くまでもなく、トランプ政権はウクライナを守る意志がないことを鮮明にした。併せて欧州に対しては、自らの軍備強化を求めた。日本や台湾に対しても同様であり、日本にはGDPの3%、台湾には実に10%の軍事支出を求めた。

●裾野が広い防衛関連株

 欧州はフランスのマクロン大統領がリード役となり、即座に防衛費拡大の準備に入ったのはご存じの通りだ。日本もいずれ軍備の増強に取り組まねばならなくなるのは明らか。そのため、東京市場ではすでに三菱重工業 <7011> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]、IHI <7013> [東証P]などが買い上げられている。これらの企業は戦車や戦闘機、潜水艦などに関わっており、 防衛関連銘柄として認識されやすいからだろう。しかし、防衛機器も鉄などの鋼材、炭素繊維などから作られている。そのため、防衛関連銘柄はもっと幅広い分野にわたっていると見てよい。

 こんな観点から注目したい防衛関連株としては、まずは大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> [東証P]がある。高品質の金属チタンで世界首位の企業だ。ボーイング<BA>の航空機はもちろん戦闘機などにも使われているため、日本が自ら戦闘機を製造しなくても、ボーイング社が使ってくれると見てよく、今後需要は拡大すると見てよい。株価は22年12月から下落の一方だったが、ようやく浮上となろう。

 チタンの製造では、もう一銘柄ある。東邦チタニウム <5727> [東証P]だ。チタンの精錬に強く、この会社もボーイング社との関係が緊密。株価も大阪チタニウムと似たような動きになっていて、今後もそれは続く可能性が高いため、どちらに投資してもよい。

 航空機材料となると東レ <3402> [東証P]を忘れるわけにいかない。東レは炭素繊維で世界首位。当然戦闘機だけでなく、燃えてはならないものには同社の炭素繊維が使われる可能性が高く、株も期待が持てる。

 航空機はもちろん、戦車、その他車両を製造するのには、耐久性に優れた鋼材が不可欠だ。特殊鋼メーカーとしては世界最大手の大同特殊鋼 <5471> [東証P]がある。防衛機器に使われなくても自動車には使われるため、自動車関連としても浮上が見込める。

 航空機関連が相次いでしまうが当然、航空機には前輪と後輪の2種類の車輪が装備されている。それを手掛けるのはブリヂストン <5108> [東証P]。自動車用が主ではあるものの、防衛向けでも使われるため株も期待が持てる。

 船舶にも目を向けると、救難飛行艇に強い新明和工業 <7224> [東証P](私はこの会社が昔製造した椅子をもう30年くらい使っている)や巡視船の修理に強い名村造船所 <7014> [東証S]などがある。

2025年3月7日 記

株探ニュース


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