田部井美彦氏【日経平均戻り足は本物か、期末目前で思惑錯綜】(2) <相場観特集>



―欧米株高受けリスク選好、中銀ウィークに変化する流れ―

 17日の東京株式市場はリスク選好の地合いとなり、日経平均株価は大幅続伸し3万7000円台半ばまで水準を切り上げた。前週末の欧米株市場が全面高様相に買われたことで、これを好感する買いが優勢だった。しかし、今週は金融政策を決定する会合が日米で開かれるなど中銀ウィークでもあり、マーケットも不安定な値動きとなりやすい面がある。また、3月期末から新年度入りにかけて株式市場は季節的な需給要因も働きやすく注意が必要だ。ここからの相場展望について、ブーケ・ド・フルーレットの馬渕氏と内藤証券の田部井氏の市場関係者2人にそれぞれ見解を聞いた。

●「過度の警戒感は織り込む、エンタメ関連株など上値妙味」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 日経平均株価は11日に一時3万6000円台を割り込むなど、軟調な値動きが続いた。この背景には、「金利」と「関税」という2つの要因が警戒されたことがあるだろう。国内金利上昇による円高が嫌気されたほか、トランプ米政権による関税政策で相場の不透明感は強まった。

 ただ、3月18~19日の日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て金利に対する見通しは立ってくる。今回は日米ともに金融政策は「現状維持」が予想されている。日本の金利上昇も当面はピークアウトが期待でき、新年度相場を意識するファンドマネージャーなども動きやすくなるだろう。

 トランプ氏の関税政策では、4月2日に発表される「相互関税」が関心を集めているが、その内容が見えてくれば、相場のリスク要因は低下する。金利と関税という警戒要因を過度に織り込んだ局面は過ぎつつあると思う。

 もっとも、相場の上値が見込めるのは4月下旬からの決算発表後となりそうだ。新年度の業績見通しや資本効率化の内容を確かめる必要があるからだ。こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは3万6500~3万8000円前後を見込んでいる。

 個別銘柄では、米国の関税政策の影響が少なく4月からの大阪万博で日本文化が脚光を浴びることが予想されるなか、ソニーグループ <6758> [東証P]やバンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]といったエンターテインメント関連株が注目されそうだ。また、電線需要が好調な住友電気工業 <5802> [東証P]やSWCC <5805> [東証P]も活躍が期待できる。更に、高配当株である三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]など銀行株や三菱商事 <8058> [東証P]など商社株は、資本効率化に向けた増配や自社株買いが期待でき、新年度に入っても人気は続くとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。


株探ニュース


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