【植木靖男の相場展望】 ─物色の矛先向かう内需・バリュー株に注目



「物色の矛先向かう内需・バリュー株に注目」

●強気、弱気観が拮抗するポイントに位置

東京株式市場は先行き不透明感を強めている。2024年9月下旬から続く高値もみ合いがいよいよ限界点に近づいたところで、日経平均株価は本年2月20日に窓を空けて急落し、一気に流れが下方に傾いた。この日、国内長期金利が2009年11月以来およそ15カ月ぶり水準の1.440%という高い水準となったからだ。この後、日経平均株価は下げ基調となり、3月11日には3万5987円まで急落。そこでようやく自律反発に転じ、19日にはザラバで3万8128円まで上昇した。折しもこの水準は高値もみ合いの下限であり、また25日移動平均線に差し掛かるポイントでもある。

 この位置は市場の先行き見通しが大きく分かれるところ。強気派は3月期末に向けた個人投資家の配当や株主優待を狙った買いを期待。さらに長期金利上昇により含み損を抱えた債券と株式の合わせ切りも終わったとして、底入れ示唆を期待する。

 だが、一方で弱気派はどうか。1カ月に及ぶ長い下落を考えると、このまま底入れと断言するのは時期尚早とする。経験則から大底を入れるには1カ月ぐらいの底練りが必要とみる。

 果たしてどちらが正しいか。ここ一両日の値動きを見るほかなさそうだ。ほどなく因縁の3万8000円処を突破してくれば、強気派有利の展開となりそうだ。

 では、理屈でいえばどうか。まず米国の株価だ。マーケットを知るプロを抱えるトランプ政権。株価に十分配慮しているはずだった。だが、そうした閣僚は株価に言及せず、トランプ米大統領も景気悪化を容認する発言を行っており、あたかも株価がさらに下落するのを待っているかのようだ。これらから予測すると、製造業の復活のために、米国企業が米国内に戻ってくるのを待ち、株価が底入れしたときに、減税など大規模な景気刺激策を打ち出すのではないか。

 こうした考えは、米国経済にとって正しい政策といえよう。ただ、現実は必ずしも理屈通りにはいかない。

●内需、バリュー株の優位が続くか

 いずれにしても米国市場では当面、安値もみ合いが続きそうだ。では、東京市場はどうか。米国株に同調してやや苦しい局面とならざるを得ないかもしれない。だが、昨今のNT倍率をみると徐々に低下傾向にある。つまり、内需株、バリュー株(割安株)が頑張っているのだ。この傾向は当分続くとみてよく、当面はこうした銘柄が入れ替わり立ち替わり物色されることになろう。

 そこで注目銘柄だが、まずはリクルートホールディングス <6098> [東証P]だ。主力の求人検索サイトが好調。2025年3月期は過去最高益の更新が見込まれている。にもかかわらず、株価はジリジリと売られてきた。買いのチャンス到来といえよう。

 このほかFOOD & LIFE COMPANIES <3563> [東証P]が不気味な動きをみせている。いうまでもなく「スシロー」を展開する回転寿司首位。世界に寿司文化を届ける役を担っている。ここ数年の成長は大げさに言えば、“ユニクロ”に似ている。

 毎回のように取り上げているが、東京ガス <9531> [東証P]の株価上昇も捨てがたい。さらにここへきて下げてきた三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]も優待狙いの買いが入りそうだ。待望の不動産株も三井不動産 <8801> [東証P]、三菱地所 <8802> [東証P]といった大物が動き出せば本物か。

2025年3月22日 記

株探ニュース


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