桂畑誠治氏【強弱観対立、3万8000円台目前の戦略を問う】 <相場観特集>



―トランプ関税への警戒も、新年度相場で活路は開けるか―

 24日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末終値近辺でのもみ合いに終始した。トランプ米政権が打ち出す関税政策などを横目に様子見ムードが強く、日経平均も方向感がつかみにくい状況が続く。3万7000円台後半の時価近辺は様子見を決め込むか、それとも押し目買い下がりを前提に強気スタンスで臨むべきか。3月期末から4月新年度入りの相場展望について、今回は第一生命経済研究所の桂畑誠治氏に見解を聞いた。

●「相互関税発表後は上値が軽くなる可能性も」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 週明けの日経平均は模様眺めに終始し3万7000円台後半の狭いレンジでもみ合う動きとなった。4月2日に導入が予定される「相互関税」の動向を見極めるまでは売り買いともに方向感が出にくい環境にある。トランプ米大統領の側近から相互関税導入にも柔軟性があるという認識が示されるなど、マーケットに若干ポジティブな印象も与えているが、現状では見切り発車が難しくやはり様子見ムードは脱し得ない。この時期特有の配当権利取り狙いの買いなどで浮揚力は働く一方、上値も重い地合いが継続しそうだ。

 自動車や半導体、医薬品にかける関税のほか、鉄鋼・アルミにも更なる関税の上積みが警戒されているが、それについては相互関税と重複する形での関税は回避される可能性もある。いずれにしても4月初旬には今よりは不透明感が払拭された状態となることで、日経平均やTOPIXの上値が軽くなるケースは考えられる。4月下旬までの日経平均のレンジとしては下値が3万6000円前後、上値は3万9000円どころを想定しておきたい。

 前週は日米の中央銀行による金融政策決定会合が同日程で開催されたが、今のところ日銀は追加利上げのタイミングを窺うなかも決定するのは6月もしくは7月になりそうだ。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ決定が濃厚とみられる。これを前提に、外国為替市場では中期的な基調として緩やかなドル安・円高方向に振れることが予想される。今週は週末28日に日本では3月の都区部消費者物価指数(CPI)、米国では2月のPCEデフレーターが開示されるが、今回の結果が日銀やFRBの金融政策を左右する要素は比較的希薄であり、全体相場が波乱に陥る公算も小さいと思われる。

 当面の物色方向としては半導体や自動車は買いにくい相場環境が続きそうだ。半導体は依然としてトランプ政権による対中輸出規制の影響が警戒される。また、自動車についても関税政策の落としどころが見えないうちは手が出しにくい。一方、相対的に有利なのはインバウンド関連で、外食や小売関連などが恩恵を受けやすく株価的にも追い風局面が続くとみている。このほかメガバンクをはじめとする銀行セクターも足もと上昇一服感はあっても、中長期的な金利上昇局面が見込まれるだけに押し目買いで報われると考える。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。


株探ニュース


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