【植木靖男の相場展望】 ─底練りを経て需給は改善へ



「底練りを経て需給は改善へ」

●東京市場立ち直りのシナリオは?

 日経平均株価は日々、全面安に近い急落を続けている。本年2月20日の窓を空けての下げが、その後の反落基調を決定づけた。4月4日には黄金比率による下値ゾーンの3万3500円~3万4500円処に到達した。

 この崩落の背景だが、米国の高関税政策に尽きる。株価が想定外の急落を演じているのは、米国の関税政策が予想を超える厳しい内容だからだ。

 多くの識者は第二次世界大戦後、米国が主導した自由貿易体制、国際協調の秩序が終焉を迎えたと受け止めている。関税政策を打ち出した米国自身もその株式市場は無傷ではなく、4月3日にNYダウは窓を空けて大きく下げている。この窓を数日間で埋めない限り、さらに下落する可能性は大きいが、窓埋めは困難だろう。つまり、この争いは相討ちである可能性が高まった。

 ともあれ、すでに東京市場が下値をすでにみせつつあるとすれば、そろそろ反騰態勢に入るとみるのが定石である。これ以上、新たな懸念材料が表面化しないとすれば、今後は関税率を巡って丁々発止の交渉が各国と米国との間で行われよう。

 これらを前提にすれば、日経平均株価は3万5000円処を当面の上値の限界とした底練りが近づいているように思われる。

 こうした局面はおそらく1カ月ほど続くのではないのか。この間、上値は限られるが、下値も時に新安値に落ち込むことはあっても直ぐに立ち直り、深押しはしないことが多い。もちろん、上げればやれやれの戻り売り、新規売りが増えるが、やがて需給は好転する。

 では、今後どのような銘柄を物色すればよいのか。これまではハイテク株安、内需株高の傾向が強かったが、ここまで全面安に近い市況が続いただけに、戻る局面では全面高になるというのが過去の経験則だ。

 とはいえ、やはり突出した動きをみせるのは、こうした環境下でも高い利益成長を実現できる銘柄だ。つまり、内需、ハイテクを問わず増益銘柄が買われる。

●トランプ関税克服の思い切った政策対応がバブルを生むか

 そして、もし意外性のある展開が訪れるとすれば、それはわが国にバブル現象が発生するケースだ。令和の米騒動の渦中にある米価が容易に下がらないとなれば、他の食品価格が連動する。となると、それが土地の上昇につながることが予想される。不動産、その関連株は注目を怠れない。大正時の米騒動と同じパターンだ。

 目下、少数与党である自民党がトランプ関税にどのような対策を打ち出すのか。石破首相は、この事態を“国難”という言葉で捉えた。これは政策的に思い切った手を打つことを約束したようなものだ。財政面では拡張か。また、株安を防ぐために日銀を動かして再び金融緩和を進めるか。

 いずれにしろ資金過剰にならざるを得ない。加えて、長い間、米国の株高を支えてきた米国へ流れた資金が国内に戻ってくれば、株価は予想外の上昇をみせることになる。

 ともあれ底練りが終われば内需、ハイテクともに一斉に急反発するはず。それも近いのではないか。

 そこで内需では不動産、電鉄、小売り、情報通信などから、住友不動産 <8830> [東証P]、NEC <6701> [東証P]、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]、阪急阪神ホールディングス <9042> [東証P]。ハイテクではアドバンテスト <6857> [東証P]、ファナック <6954> [東証P]、任天堂 <7974> [東証P]など。

 バブル相場が明確になれば日本製鉄 <5401> [東証P]、東京ガス <9531> [東証P]なども活躍しそうだ。

 今後は平成バブルを想起しつつ、株価を熟視することが肝要であろう。

2025年4月4日 記





株探ニュース


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