【緊急インタビュー】日経平均暴落、下値メド&反発の条件とは SBI証券・鈴木英之氏 <相場観特集>



―トランプ関税の影響どこまで、3万円台割れはあるか―

 7日の東京株式市場は想定を超える急落に見舞われ、日経平均株価は一時3万792円まで3000円近く暴落する場面があった。昨年8月5日の取引時間中に3万1156円まで売り込まれる場面があったが、きょうはその水準をも下回った。その後は下げ渋ったものの、終盤に売り直され市場センチメントはかつてなく冷え込んでいる。トランプ米政権が打ち出す容赦ない高関税政策に対し、中国が米国と同水準の報復関税を発表したが、今後欧州やカナダなどこの動きに追随する関税合戦も予想され、貿易戦争の様相が一段と強まりそうな気配となっている。世界的なリスク回避ムードのなかで、日経平均はどこまで下値を試すことになるのか。また、株価反発に求められるものとは何か。ベテラン市場関係者2人に日経平均の下値メドと反発の条件について見解を聞いた。

●「3万円を下値に反発か、何らかの形で軟着陸図る可能性も」

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

 7日の日経平均株価は前週末に比べ2644円安と過去3番目の下げ幅となった。足もとの下げをテクニカル的にみると、日経平均株価と25日移動平均線のカイ離率は15%に達している。これだけの大きなカイ離を記録したのは、過去30~40年間を見渡しても10回もないだろう。

 バブルが崩壊した1990年4月の暴落時も同移動平均線からのカイ離率は十数%に達し、その後いったん値を戻す動きとなった。実際、足もとの株価もだいぶ良い水準まで下落は進んだと思う。日経平均株価の当面の下値のメドは3万円前後だろう。今後1ヵ月程度では、上値のメドは3万5000円前後とみている。

 暴落した株価が今後、反発するきっかけは、ひとつにはどこかの国が口火を切る格好で米国との相互関税の引き下げ交渉が始まることだ。同関税に関する米国のアナウンスメントはいったん出尽くしている。市場の関心が、引き下げ交渉に向かえば、相場は反発する可能性がある。

 もう一つは、米国が自主的に相互関税の政策を緩和することだ。発表された相互関税を1年も続けたら米国の消費者は持たないだろう。相互関税は物価高騰に拍車をかけるし、米国経済には株安による逆資産効果でマイナス要素をもたらしかねない。結局、最も打撃を被るのは米国の消費者だ。トランプ米大統領は、決して「間違えた」とは言わないだろうが、株価の下落が続くようなら、何らかの形で軟着陸を図ることは考えられる。

 今年は「巳年」だが、過去を振り返っても、1953年の「スターリン暴落」、65年の「(昭和)40年不況」、89年の「バブル天井」など、記録に残る大きな出来事が巳年には起こっている。

 個別の物色対象は、中期的にみれば電鉄株、それに日銀の追加利上げが遠のき金利低下基調が見込めるため、有利子負債が大きい建設株や不動産株には追い風に働くとみている。更に、サプライチェーンの見直しによるデジタル化需要も見込めるため、情報サービス関連の株価は引き続き注目できると思う。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。





株探ニュース


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