市川雅浩氏【市場は再び荒れるのか? 相互関税ショック後の展望を読む】 <相場観特集>



―米関税政策になお不透明感、国内では3月期企業の決算発表シーズンが接近中―

 トランプ米政権による相互関税の発表と、発動直後の一部凍結を受け、株式市場は激しく乱高下した。週明け14日の日経平均株価は反発したとはいえ、朝方に前週末比で一時700円を超す上昇となった後は失速。警戒ムードは継続したままだ。米国の対中関税率が145%、中国政府の対米関税率が125%まで引き上げられた現実を踏まえつつ、この先の株式相場の展望をどう読むべきなのか。三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト、市川雅浩氏に見解を聞いた。

●「米中歩み寄りの兆候を見極めの局面、米債市場の混乱は沈静化へ」

市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト)

 米国と中国がこれだけ関税を引き上げれば、貿易活動にダメージをもたらすのは明らかである。中国サイドとしては仮に米国が更なる措置に踏み切った場合、関税以外の部分で対抗策を打ち出すことを余儀なくされるだろう。米中両国の関税の引き上げ合戦はいったん打ち止めになるはずだ。第1次トランプ政権の際には、双方がぶつかり合った後に歩み寄りの姿勢をみせた。今回も同じような流れとなると見込まれる。米中両国がこの先、協議に向けてどのように動くのか、マーケットとして見極めの局面になると考えている。

 前週は米長期金利が急上昇(債券価格は急落)し、金融市場の混乱の火種となりかねない米国債の動きに対し警戒感が強まった。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定に携わる高官の直近の発言からは、万一の場合には中央銀行として適切に対応するとの姿勢が示されている。米債券市場の混乱も徐々に沈静化に向かうだろう。

 2日に発表された一律10%と各国・地域ごとの上乗せ分からなる相互関税は、9日の発動後すぐに、一部の国・地域の上乗せ分について90日間停止することが決まった。2日発表分の相互関税が世界経済に及ぼすインパクトについては、金融市場にすでに織り込まれた。こうしたなかで、日本国内では3月期企業の決算発表が本格化するシーズンに差し掛かる。米国の関税政策に対する警戒感が広がった状況にあり、期初の段階で企業側が打ち出す今期の業績予想は、かなり控えめなものとなる可能性が高い。もっとも、この点に関しても株式市場への織り込みは進んだと言える。

 米中問題がエスカレートしないのであれば、日経平均について、7日の取引時間中の安値(3万0792円)を下回る水準まで下落する展開は考えにくい。ただし日米関税交渉において、為替の問題がどのように絡んでくるのかという点についても留意する必要がある。円高リスクが高まれば日本株の上値を圧迫しそうだ。

 この先の1ヵ月間に関して、日経平均は3万2500円から3万5500円の間で一進一退となる展開が予想される。食品や小売、サービス、情報・通信、陸運といったセクターが引き続き選好されるとみているが、ディフェンシブ一色とはならず、自動車や半導体、精密機器、化学、機械など、出遅れ感の強まったシクリカルセクターも徐々に物色されることになると想定している。

(聞き手・長田善行)

<プロフィール>(いちかわ・まさひろ)
日系・米系銀行で、株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を長く担当。現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。三井住友DSアセットマネジメントのウェブサイト「市川レポート 経済・相場のここに注目」にて日々レポートを掲載中。


株探ニュース


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