波乱相場で輝き放つ、任天堂が属する「その他製品」とっておき5銘柄 <株探トップ特集>



―多種多様な業態ひしめく、育児用品や美容家電、住設メーカーのほか隠れエンタメ株も―

 トランプ米政権への警戒感が続く。日本を含む幅広い国々を対象とした相互関税を打ち出し、今月に入り世界の株式市場は大きく揺さぶられた。同政策を巡り先行きは依然見通せない。こうした状況下では「休むも相場」が合理的な判断の一つとして考えられるが、一方でこういう時でも投資機会を見出し、したたかに相場と向き合おうとする動きがあるのも確かだ。関税の影響が大きい輸出関連株が手掛けづらいとあれば、外需でなく内需ということで小売り・外食株などに活路を探る動きがある。既に関税リスクの少ない銘柄にさまざま光が当たっているが、目を凝らして有望株を更に探った。

●年初来騰落率で勝ち組の7業種は

 ここ注目度が増す内需株では小売り・外食のほか、国内事業が中心のIT系グロース株に脚光を浴びるものがある。これらは為替の円高がプラスに働きやすい。また、内需と一部重なるディフェンシブ株にも関心は広がり、なかでも旺盛なインバウンド需要を享受する鉄道株が底堅い。業種ごとの動きをもう少し具体的にみてみたい。東証33業種別株価指数の年初来の騰落率をみると18日時点で26業種が値下がり。下落率上位には「非鉄金属」(22.1%安)を筆頭に「精密機器」(17.4%安)、「輸送用機器」(15.7%安)など景気敏感セクターが多く並ぶ。外食を含む「小売業」(1.9%安)も下げているが、値下がり業種の中では値を保っている。同期間の日経平均株価は12.9%安、TOPIXは8.1%安だ。

 一方、値上がりの7業種には鉄道を含む「陸運業」(6.4%高)、IT系の「情報・通信業」(0.7%高)がある。追加利上げ観測の後退で見直し買い機運が強まる「不動産業」(6.4%高)のほか、「ゴム製品」(4.9%高)、「食料品」(0.7%高)、「建設業」(0.5%高)がランクイン。不動産業には訪日客拡大に伴うホテル需要増の追い風も吹く。そして残り1枠、値上がり全7業種の中で上昇率トップとなったのが「その他製品」(6.7%高)だ。その名の通り、どの業種にも分類されなかった銘柄が属するセクターになる。どのような業種か一見して捉えにくいと思われる。この不安定相場で強さを発揮している理由は何か。構成銘柄をみるとそれがわかる。

 その他製品の構成銘柄には内需系企業が比較的多い。まずは、これが理由として一つある。業態別にみると ゲームやスポーツ用品、印刷、事務用品など多種多様だ。このなかでゲームと言えば、関税の影響を受けにくい分野として投資家の熱い視線を集めるテーマの一つである。実は、構成銘柄の時価総額上位をみると任天堂 <7974> [東証P]とバンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]がツートップに位置している。両銘柄とも今年に入り上場来高値を更新している。これが、その他製品の指数が強いもう一つの大きな理由となる。このセクターには前述したように多種多様な業態の企業がひしめく。その中にはゲーム株と同様に、グローバル動向に左右されにくい銘柄がまだ数多く存在する。今回、その中から業績や配当、株価面で投資妙味のある銘柄を5つピックアップした。

●海外展開はアジア中心、暴落局面でツレ安も回復早い

 ピジョン <7956> [東証P]は育児用品最大手。国内と中国市場を主力とし、株式市場では中国関連株として注目されることが多いが、2004年に買収した米同業ランシノ・ラボラトリーズを通じて欧米市場も深耕している。中国で進む少子化を懸念する向きもあるが、それでも同国の年間出生数は約950万人と日本(昨年約72万人)とはケタ違いだ。とはいえ、他のアジア各国での業容拡大にも余念がなく、インド(年間出生数約2300万人)、インドネシア(同約450万人)を重点市場に位置づけ取り組みを加速させている。今期は2期連続の増収・営業増益を予想。配当利回りは4%台だ。株価は今月上旬の全体急落局面でツレ安したものの200日移動平均線を足場に切り返す動き。

 ブシロード <7803> [東証G]はトレーディングカードを主力にアニメ、ゲーム、音楽ソフト、ライブ・イベントと幅広く展開。自社IPに「カードファイト!!ヴァンガード」「BanG Dream!(バンドリ!)」などがある。前段でゲーム株は関税の影響を受けにくい分野の一つとしたが、同社のようなゲームを含むエンターテインメント株も同様だ。2月に上期決算とあわせ25年6月期通期業績予想を上方修正し、営業3.4倍増益の見通しに。株価は昨年末の400円水準から上昇基調を強め、今年3月下旬に622円の高値を形成。その後全体暴落に巻き込まれ、今月7日に75日線を割り込み400円台半ばに沈んだが、翌日には同移動平均線上に再浮上。足もと500円台半ばで推移する。

 MTG <7806> [東証G]は「SIXPAD(シックスパッド)」「ReFa(リファ)」で知られる健康・美容家電の開発・販売会社。両ブランドを軸にトレーニング機器や美顔器、ドライヤー、シャンプー、リカバリーウェアと多彩な商品を手掛ける。国内ECサイトやテレビ・ネット通販、量販店などを通じて販売を広げ、海外では中国、韓国などで展開する。新商品の投入を積極化させるほか、新ブランドの育成も推進。NTTドコモと協業し、指輪型ウェアラブル機器「スマートリング」の拡販に取り組む。国内売り上げの好調や新商品の投入効果が寄与し、25年9月期通期の営業利益は前期比2.1倍の70億円と急拡大を予想。7期ぶりに最高益を更新する見通しだ。

 タカラスタンダード <7981> [東証P]は住宅設備メーカー大手。システムキッチンで業界トップを誇り、システムバス、洗面化粧台でもシェア上位に位置する。海外事業は中国、台湾、ベトナムを中心に展開し、インドやインドネシアへの進出も視野に入れる。価格改定効果が表れた24年3月期に続き、25年3月期も増収増益の見通し。増配も計画する。同社は27年3月期に営業利益200億円(24年3月期は約124億円)とする中期経営計画を掲げる。株主還元は配当性向40%水準を目指す構え。株価は昨年後半から下値切り上げトレンドをたどり、今年2月の四半期好決算で200日線を一気にブレイク。今月上旬の全体暴落で一瞬200日線を割り込んだが立ち直りは早い。

 トランザクション <7818> [東証P]は雑貨の企画開発からデザイン、製造販売、マーケティングまで一貫したサービスを提供する。エコバッグをはじめ、再生プラスチックや天然素材を使用した環境配慮型の商品を幅広く取り扱い、社会的な環境意識の高まりを追い風に業容を拡大。更に、ゲームやアニメ、イベントなどの関連商品も手掛け、昨今の推し活ブームの時流にも乗る。25年8月期の営業利益は10期連続での最高益更新を見込み、配当も大幅増額を計画。同社は2010年の上場以来、毎年増配(株式分割考慮ベース)を続けている。株価は好業績を背景に上げ足を強め、今月に入り約半年ぶりに上場来高値を更新。隠れエンタメ関連株ともいえる同社の今後から目が離せない。

株探ニュース


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