【杉村富生の短期相場観測】 ─トランプ大統領のアキレス腱は……?



「トランプ大統領のアキレス腱は……?」

●1回目の日米交渉は顔見せ、あいさつ!

 厳しい相場展開が続いている。毎度同じことの繰り返しだが、トランプ関税に振り回される構図に変わりがない。ドナルド・トランプ大統領の言動に一喜一憂する日々だ。なにしろ、日経平均株価は4月7日に2644円安、8日は1876円高、9日は1298円安、10日は2894円高と、歴史的な乱高下である。ただ、安値は形成している。

 ボラティリティ(株価変動率)が極端に高い。オプションのプットの売りは全滅、信用取引(買い)は壊滅的なダメージを受けた。もちろん、機関投資家も無傷ではない。NISA(少額投資非課税制度)は新制度発足早々、出鼻をくじかれた格好になっている。まあ、NISAは長期戦だ。腰を据えて耐えるしかない、と思う。

 トランプ関税に関する日米交渉はとりあえず、1回目は無難に終わった。儀礼的な顔見せにすぎない。これで済むと考えていたら間違いだ。アメリカ側はスコット・ベッセント財務長官など苦労人、かつクセ者ぞろいである。日本側の赤沢亮正経済財政・再生相はトランプ大統領との会談後に、自身を「格下も格下」と連呼されていたが、これは無意味だろう。

 国と国の交渉である。格下も格上もあるものか。国、および国民の代表だ。その気概をもって対応してもらいたい。交渉は対等だろう。アメリカは難題を持ちかけてくる。防衛費、農産物、為替(円高圧力)などだ。1970~1980年代のように、すべてを受け入れると、産業は再び空洞化し、デフレ時代に逆戻りする。

 日本は1兆1259億ドルのアメリカ国債を持っている。中国は7843億ドルだ。かつては日本よりも多く持っていた。ドル債を売って、金(ゴールド)に替えたといわれている。米中貿易摩擦次第ではこれを交渉の切り札に使うだろう。日本側は「貿易黒字がゼロでは資金還流はできない」と主張するべきじゃないか。

●円高圧力には警戒を要する!

 いつまでも「忠犬ハチ公」では困る。同盟国である。今回、為替は話題にならなかったようだ。しかし、安心はできない。交渉に際し、切り札は見せないものだ。アメリカ側は1ドル=120~130円の円高を狙っているらしい。日銀短観によると、輸出企業の想定為替レートは147円35銭である。2026年3月期の業績予想が焦点になろう。

 ちなみに、トランプ大統領のアキレス腱というか、恐れているのはNYダウの暴落(3カ月間に、アメリカ市場の時価総額は1500兆円減少)、金利上昇(10年物国債利回り4.5%超)、支援者の声(「こんなことを望んで献金したわけではない」との批判)、支持率低下(不支持率が10ポイント以上、上回る)など。これらの現象に対応、方針が変わる。

 日本市場の場合、日経平均株価の25日移動平均線とのマイナスカイリ15%超(4月7日の瞬間安値3万0792円の局面ではマイナス16%に)が突っ込み買いのメドになる。そして吹き値売りが基本戦術だ。ただし、マイナスカイリ10%超がそう頻繁にあるわけではない。通常はマイナス6~7%だろう。それまでは材料株での小すくい作戦が有効と判断する。

 具体的にはiPS細胞によるパーキンソン病薬を開発中の住友ファーマ <4506> [東証P]はどうか。住友化学 <4005> [東証P]が筆頭株主だ。発行済み株式数の51.68%を保有している。

 THEグローバル社 <3271> [東証S]には好業績(2025年6月期は最高益、配当は9円増の38円)に加え、思惑妙味がある。

 筆頭株主はSBIホールディングス <8473> [東証P]、発行済み株式数の51.95%を保有する。SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長はダルトン・インベストメンツ側に立ち、フジ・メディア・ホールディングス <4676> [東証P]の取締役候補に名前が挙がっている。今後、何かと話題になるだろう。

 このほか、首都圏攻略を着々と進める産業廃棄物処理業のミダックホールディングス <6564> [東証P]、スマホ用充電器レンタルのINFORICH <9338> [東証G]、営業支援、広告プラットフォーム展開のジーニー <6562> [東証G]、切り返し急なエイチ・アイ・エス <9603> [東証P]などに妙味があろう。

2025年4月18日 記

株探ニュース


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