大反騰の予兆、神速のステージへ「量子コンピューター関連」5銘柄 <株探トップ特集>



―米国では量子Comの象徴株が短期でダブル・テンバガーに、ゲームチェンジ近づく―

 生成AIの登場が世界中の耳目を集め、そこからわずか数年で驚くべき進化をみせている。AI市場の急拡大が、我々の日常にも大きな影響を及ぼしていることは言うまでもない。一方、AIの飛躍的成長の背景にはビッグデータ時代の本格到来があり、その膨大な情報量を処理するコンピューティング技術の進化にも世界的な関心が高まっている。

 元来コンピューターは演算処理能力がいかにパワーアップされようとも、「0もしくは1」という普遍的な動作原理によって動かされていることに変わりはなく、これは最先端のスーパーコンピューターでも一緒である。しかし、その常識の領域を大きく超越した次世代コンピューティングの切り札として脚光を浴びているのが量子コンピューターである。株式市場でも関連銘柄に対する投資マネーの視線がここにきて再び熱を帯びてきた。

●「01」領域からの跳躍で別世界広がる

 量子力学を導入することによって、ひとつの量子が「0であり、かつ1でもある」という“重ね合わせ”や“もつれ”の状態を利用することで、神がかり的なパフォーマンスを実現させたのが 量子コンピューターだ。まだ記憶に新しいのは、2019年に米グーグルが超電導方式の量子コンピューターを使って、スーパーコンピューターでも1万年以上の膨大な時間のかかる計算をわずか200秒で完了させたというニュース。「量子超越性」を達成したことを宣言し世界中の耳目を集めた。また、国内では23年春に理化学研究所が超電導量子コンピューターの国産初号機を公開している。

 ただ、そこから2年あまりの歳月を経ても、量子コンピューターの本格普及には至っていない。現在はまだ計算時のエラーが多く、精度の低さが実用化を阻む最大の理由となっている。量子計算のプロセスで発生した誤りを訂正する技術の進展が待たれる段階にあるが、今から5年後の30年以降に本格的な商業利用が始まる可能性が高いという見方が一般的だ。「市場では日進月歩で研究が進んでおり、思った以上に近い将来に量子コンピューターが社会実装される時代が訪れる可能性がある。米国株市場で株価を短期間で約20倍化させた銘柄が輩出されるなど、その近未来図を暗示している」(国内証券ストラテジスト)という意見も聞かれる。

●短期間で株価20倍に、恐るべき量子パワー

 この短い期間で株価を約20倍化させた銘柄というのが、量子コンピューターのシステム開発や関連アプリサービス開発を手掛ける米D-ウェイブクアンタム<QBTS>だ。同社は日本でもトヨタ自動車 <7203> [東証P]やNEC <6701> [東証P]などを顧客企業として抱えている。株価は昨年11月を境に人気に火が付き、5月23日の最高値形成まで時価総額は19.7倍化した。直近は高値圏でやや不安定な値動きとなっているが、押し目に買い向かう動きは依然として活発だ。

 戦略系コンサルティングファームとしてグローバル展開する米ボストン・コンサルティング・グループによると、量子コンピューターによって創出される経済価値は40年までに世界全体で最大8500億ドル(約122兆円)に及ぶと試算されており、産業に与える影響は膨大なものとなりそうだ。今年は量子力学の誕生から100年にあたり国連は「国際量子科学技術年」として公式に宣言しているが、日本でも石破首相が今年を「量子産業化元年」と位置付けスタートアップ支援を表明している。

●日本の新たなお家芸となる可能性に着目

 本来、量子コンピューター分野においてもフロントランナーは米国だが、日本も決して負けてはいない。大阪大学と富士通 <6702> [東証P]が共同発表した新しい量子計算方式は、従来想定よりも劇的に少ない6万量子ビットで、エラーの発生を1000分の1に抑えたという。また、東京大学発のスタートアップであるOptQC(オプトキューシー)は26年度中の光量子コンピューターの商用化に取り組んでいる。この光を使った量子コンピューターは、極低温ではなく室温動作が可能で、量子状態も保持が容易、長時間にわたる計算が可能で既存の光通信インフラとの親和性も高い。同分野では日本がゲームチェンジャーとなる期待も十分にある。

 株式市場でも早晩、量子コンピューター関連株への物色人気が再燃しそうだ。国内では富士通のほか、NEC、日立製作所 <6501> [東証P]、日本電信電話 <9432> [東証P]などが研究開発のトップグループだが、このほか、フィックスターズ <3687> [東証P]、HPCシステムズ <6597> [東証G]、オキサイド <6521> [東証G]なども関連有力銘柄として人気化素地を内包している。もちろん投資対象として目が離せない銘柄は他にもいくつか存在する。今回のトップ特集では量子コンピューティング領域で中長期的に大いに活躍が期待される“隠れ本命株”を5銘柄厳選した。

●ここから中期で目が離せない変身期待の5銘柄

【テラスカイは量子新技術を開発、業績も飛躍へ】

 テラスカイ <3915> [東証P]はクラウド導入コンサルやシステム構築を主力としている。クラウド型法人向けCRM(顧客管理)ソリューションで抜群の実績を誇る米セールスフォース<CRM>や、米アマゾン・ドット・コム<AMZN>が展開するAWS(アマゾンウェブサービス)のクラウド導入支援ビジネスで時流に乗っている。また、昨年春にNTTデータと資本・業務提携を締結し、セールスフォース事業における成長力に磨きをかけている。量子コンピューター分野の展開にも早くから布石を打っており、同社傘下で量子コンピューターのアルゴリズム開発を手掛けるQuemixが、5月14日にホンダ <7267> [東証P]と共同で世界初の「量子状態を読み出す新技術」の開発に成功したことを発表。具体的には量子状態を壊すことなく特徴量をスキャンする新技術で、高速かつ効率的な読み出しを実現した。業績は飛躍局面にあり、26年2月期の営業利益は前期比26%増の18億3300万円とピーク更新が続く見通し。株価は20年10月に5750円(分割修正後株価)の最高値をつけているが時価はその半値以下。中期視野に立てば3000円台での活躍も通過点に過ぎない可能性がある。

【グリッドは量子アルゴリズム分野の実績輝く】

 グリッド <5582> [東証G]は電力の需給計画や海運の配船などAIを活用して最適なプランを提供する計画最適化事業を展開する。近い将来は自動運転など都市交通分野での活躍が見込まれるが、これはまさに量子コンピューターが得意とする範疇だ。そうしたなか、同社は17年に量子アルゴリズムの研究を開始して以降、18年に量子アルゴに関する論文を発表し、21年に量子アルゴに関する特許申請と逐次実績を積み上げている。昨年9月には電気通信大学との共同提案である「仮想発電所需給調整におけるリスクヘッジ型量子古典確率最適化手法の開発」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに採択されたことを発表している。足もとの業績も好調で24年6月期の76%営業増益に続き、25年6月期は前期比10%増の4億円を計画。更に26年6月期も大幅な利益成長が期待できる状況にある。株価は足もと上昇一服だが買い場と判断され、上場時の23年7月には6400円の高値に買われた経緯があり、天井の高さは魅力だ。売上高・利益ともに今・来期と過去最高更新見通しにあるなか、早晩3000円台復帰が視野に入る。

【エヌエフHDは量子分野の先駆で存在感光る】

 エヌエフホールディングス <6864> [東証S]は電子回路や制御技術で使用されるNF(ネガティブフィードバック)制御技術やアナログ回路技術を強みとする電子計測機器メーカーで、独自技術を武器に研究開発分野で高評価を獲得している。量子コンピューター分野でも先駆的存在であり、その歴史は超電導素子を用いたジョセフソンコンピューターの研究用に低雑音増幅器と電源開発を依頼された1995年を出発点とする。同社の低雑音信号処理技術は量子デバイスの制御や信号検出などの研究領域で重要な役割を果たす。量子コンピューター用途では16チャネル低雑音直流電源などのオーダー製品が収益面にも貢献している。業績はトップラインの微減が続くなかも利益率改善が急で、営業利益は25年3月期に31%増益で回復に転じ、26年3月期も前期比24%増の6億8000万円を予想している。指標面でも0.7倍台のPBRは見直し余地大。株価は5月23日に1474円の戻り高値を形成した後に調整を入れているが、25日移動平均線との上方カイ離を解消した時価は押し目買い好機とみられる。1400円台後半のフシ突破から再び上昇波動への回帰が期待できそうだ。

【ブレインPは量子×AIのキーカンパニー】

 ブレインパッド <3655> [東証P]はAI技術を活用したビッグデータ解析やシステム開発を行い、付加価値の高いコンサルティングサービスを展開する。人間が行う複雑な業務を自律的に処理する「AIエージェント」事業に傾注し、企業の各業務領域に特化した人材不足の課題解決に向けたニーズを捉えている。技術研究では量子技術に関する論文のレビューなどで定評があり、近い将来には量子技術を実装したAIソリューション実現に向けたキーカンパニーとして業界他社と一線を画すポジションにある。業績は24年6月期の営業利益倍増に続き、25年6月期も前期比30%増の高い伸びで17億5000万円を見込んでいる。26年6月期についても主力のデータコンサル事業の牽引で増収増益トレンドが維持される公算が大きい。株価は5月中旬を境に動兆著しいが、1100~1300円台半ばのゾーンで上下動を繰り返している。株式需給面では外資系証券の手口で貸株市場経由の空売りが高水準に溜まっており、このアンワインド効果で上げ足が一気に強まる可能性を内包。中長期波動では昨年2月下旬の高値水準である1800円近辺を目指す動きに。

【シンデンハイは量子コン市場に本腰で超割安】

 シンデン・ハイテックス <3131> [東証S]は独立系の電子デバイス専門商社で半導体製品が売り上げ全体の6割強を占める。電子機器の製造受託サービスにも力を入れている。半導体は韓国や米国、中国メーカーの製品などを主に取り扱う。好採算のシステム製品分野の売り上げが増勢基調にあり、26年3月期営業利益は前期比14%増の16億円と25年3月期に続き2ケタ伸長を確保する見通し。株価指標面ではPER6倍前後、PBRも0.6倍台に過ぎず、商社という業態を考慮しても割安感が際立つ。株主還元にも積極的な姿勢を示し、今期年間配当は130円を計画、配当利回りにして5%前後と高い。一昨年春に量子コンピューター向けクラウドやソフトウェア開発のフロントランナーであるblueqat(東京都渋谷区)との提携を発表、高性能GPU搭載サーバの販売及び量子コンピューティングサービスの提供を皮切りに、量子コンピューター市場への参入を表明している。株価は5月12日に大陽線で大きく上放れ、それ以降もほとんど調整局面を挟まず上値指向が強い。1月7日の年初来高値2796円奪回から昨年7月以来の3000円台チャレンジが有力視される。

株探ニュース


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