乱高下もマグニフィセント7が上昇の先導役に復帰 (2) 【シルバーブラットの「S&P500」月例レポート】



●主なポイント

 ○5月の株式市場は、ワシントン(そしてソーシャルメディア上)で繰り広げられる政策発表や変更といった目先のイベントを注視して反応するという展開が続き、株価は大きく乱高下しました。経済全体と企業業績が良好な状態にあることを示すデータが引き続き見られた一方で、将来的には悪影響が及ぶ可能性があるとの警告も示されました。S&P500指数 は5月に6.15%上昇しました(配当込みのトータルリターンはプラス6.29%)。4月は0.76%下落(同マイナス0.68%)、3月は5.75%と大幅下落(同マイナス5.63%)、2月は1.42%下落(同マイナス1.30%)、1月は全面高となり2.70%上昇(同プラス2.78%)でした。過去3ヵ月のリターンは依然としてマイナスで0.72%下落(同マイナス0.37%)、年初来では0.51%上昇(同プラス1.06%)、過去1年では12.02%上昇(同プラス13.52%)となりました。2024年は23.31%の上昇でした(同プラス25.02%)。

  ⇒5月のS&P500指数のトータルリターンはプラス6.29%でしたが、マグニフィセント・セブンを除くとプラス2.72%でした。また、年初来のトータルリターンは指数全体ではプラス1.06%ですが、マグニフィセント・セブンを除くとプラス2.28%となります。

 ○5月の主なデータ

  ⇒S&P500指数は3ヵ月連続で下落していましたが(累計で7.80%下落)、5月は目先のニュースを織り込む以上の動きとなって反発しました。指数は5月に6.15%上昇して月を終えました。4月は0.76%下落、3月は5.75%下落、2月は1.42%下落しました。1月は全面高の展開で2.70%上昇しました。5月は21営業日のうち12営業日で上昇しました(4月は21営業日のうち13営業日で上昇)。また、5月は値上がり銘柄数が増加し、347銘柄が値上がり、155銘柄が値下がりしました。4月は値上がり銘柄数が168銘柄、値下がり銘柄数が331銘柄、3月は値上がり銘柄数が154銘柄、値下がり銘柄数が349銘柄、2月は値上がり銘柄数が248銘柄、値下がり銘柄数が255銘柄、1月は値上がり銘柄数が355銘柄、値下がり銘柄数が148銘柄でした。年初来では値上がり銘柄数が256銘柄、値下がり銘柄数が247銘柄となっています。5月の出来高は前月比11%減、前年同月比では12%増となりました

   →5月は11セクターのうち10セクターが上昇しました。4月は5セクター、3月は2セクター、2月は6セクター、1月は10セクターが上昇しました。5月のパフォーマンスが最高となったのは情報技術で10.79%上昇しました(年初来では1.85%下落、2023年末比では33.18%上昇)。パフォーマンスが最低だったのはヘルスケアで5.72%下落しました(同3.82%下落、同2.95%下落)

  ⇒S&P500指数は5月に6.15%上昇して5911.69で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス6.29%)。4月は0.76%下落して5569.06(同マイナス0.68%)、3月は5.75%下落して5611.85(同マイナス5.63%)で月を終えました。過去3ヵ月では0.72%下落(同マイナス0.37%)、年初来では0.51%上昇(同プラス1.06%)、過去1年間では12.02%上昇(同プラス13.52%)となりました。2024年通年では23.31%上昇(同プラス25.02%)、2023年は24.23%上昇(同プラス26.29%)、2022年は19.44%下落(同マイナス18.11%)でした。

   →コロナ危機前の2020年2月19日に付けた終値での高値からは74.58%上昇(同プラス89.49%)となっています。

 ○米国10年国債利回りは4月末の4.18%から4.40%に上昇して月を終えました(2024年末は4.58%、2023年末は3.88%、2022年末も3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは4月末の4.69%から4.92%に上昇して取引を終えました(同4.78%、同4.04%、同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)

 ○英ポンドは4月末の1ポンド=1.3330ドルから1.3462ドルに上昇し(2024年末は1.2520ドル、2023年末は1.2742ドル、2022年末は1.2099ドル)、ユーロは4月末の1ユーロ=1.1327ドルから1.1347ドルに上昇しました(同1.0360ドル、同1.0838ドル、同1.0703ドル)。円(対米ドル)は4月末の1ドル=143.18円から142.88円に上昇し(同157.32円、同141.02円、同132.21円)、人民元は4月末の1ドル=7.2714元から7.1998元に上昇しました(同7.2770元、同7.1132元、同6.9683元)。

 ○5月末の原油価格は4.5%上昇し、4月末の1バレル=58.28ドルから同60.90ドルとなりました(2024年末は同71.75ドル、2023年末は同71.31ドル、2022年末は同80.45ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は5月に0.8%上昇し、1ガロン=3.288ドルとなりました(4月末は3.261ドル、2024年末は同3.128ドル、2023年末は同3.238ドル、2022年末は同3.203ドル)。2020年末から原油価格は25.8%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は41.1%上昇しました(2020年末は1ガロン=2.330ドル)。

  ⇒2025年4月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、49%が原油、19%が販売・マーケティング費、16%が精製コスト、16%が税金となっています。

 ○金価格は4月末の1トロイオンス=3300.10ドルから上昇し、3315.40ドルで5月の取引を終えました(2024年末は2638.40ドル、2023年末は2073.60ドル、2022年末は1829.80ドル)。

 ○VIX恐怖指数は4月末の24.70から18.57に下落して5月を終えました。月中の最高は25.62、最低は17.15でした(2024年末は17.35、2023年末は21.67、2022年末は17.22)。

  ⇒同指数の2024年の最高は75.73、最低は10.62でした。

  ⇒同指数の2023年の最高は30.81、最低は11.81でした。

  ⇒同指数の2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。

 ○市場が力強く反発する中、目標株価はわずかに上昇しました。S&P500指数に対する市場関係者の1年後の目標株価は前月から0.5%上昇して6575となり、現在値から11.2%の上昇が見込まれています(4月末時点では17.5%上昇の6543、3月末時点では6869)。ダウ平均の目標株価は前月から1.5%低下し、現在値から9.1%上昇の4万6128ドルとなっています(4月末時点では15.1%上昇の4万6810ドル、3月末時点では4万9056ドル)。

●トランプ大統領と政治

 ○米国政府は2025年5月5日、債務不履行(デフォルト)となっている学生ローンの回収を再開しました。対象者は約500万人と推定されます。学生ローンの返済は、2020年3月に新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに猶予され、任意とされており、その後猶予期間は延長されてきましたが、2023年10月に返済は再開していました。現在、学生ローンの債務者は約4300万人、債務総額は1兆6000億ドルに上り、定期的に返済が行われているのはわずか3分の1にとどまります。

 ○トランプ大統領は30人の米国実業界のリーダーと共に中東を訪問し、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、そしてシリアの首脳とも会談しました。

 ○米国政府は、カタール政府から贈られた航空機ボーイング747を受領し、一時的にエアフォース・ワン(大統領専用機)の代わりとして使用する意向を明らかにしました。カタール政府によれば、航空機は一時的な使用を目的としたもので、現行法に従って引き渡しが行われる予定です(すべての手続きはまだ完了していません)。航空機の受領と使用を巡って、議会で幾分か懸念が生じました。

 ○下院は「一つの大きくて美しい法案」を可決しました。賛成215、反対214はほぼ両党の議席通りの結果です。議論の場は上院に移りますが、内容の修正が予想され、再び下院で審議(非公開)されることになります。

 ○今後の主要イベント

  ⇒6月4-5日:欧州中央銀行(ECB)政策理事会

  ⇒6月17-18日:米連邦公開市場委員会(FOMC)

  ⇒6月19日:イングランド銀行金融政策委員会

  ⇒7月9日:相互関税の適用停止期間(90日間)の期限。EUへの50%関税の保留期間が終了

  ⇒8月12日:中国を対象とした10%を超える相互関税の適用停止期間(90日間)の期限

※「乱高下もマグニフィセント7が上昇の先導役に復帰 (3)」へ続く

株探ニュース


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