【杉村富生の短期相場観測】 ─復調著しい半導体!妙味株を探る!



「復調著しい半導体!妙味株を探る!」

●AI分野が飛躍期に突入!

  NASDAQ市場のマイクロン・テクノロジー<MU>が人気を集めている。広島に 半導体工場を有し、かつてはテラプローブ <6627> [東証S]の親会社(現在は台湾系)だった。日本とはなじみが深い。同社はエヌビディア<NVDA>のAI(人工知能)プロセッサー向けの高帯域幅メモリ(HBM)など、最先端の製品を手掛けている。

 HBMの主な用途は データセンター用だ。同メモリの売上高は四半期ベースでは5割増という。さらに、AI機能を搭載したモバイルデバイス向けの低消費電力型LPDDR5Xメモリに注目できる。汎用半導体メモリのスポット価格上昇はAIサーバーの生産好調を意味する。そう、ハイテクセクターのキーワードはAI&データセンターである。

 既報のコアウィーブ<CRWV>の急成長(収益的には赤字継続だが)はオープンAIによってもたらされている。中国のAI新興企業DeepSeek(ディープシーク)は生成AIに関し多言語対応を強化、学習能力を拡大、マルチモーダル(統合されたAIモデル)機能を追加、推論的スクリーニングを改良した高効率モデル「R2」を投入する、という。

 半導体大手のクアルコム<QCOM>はやはり先進的なメモリの増産を計画している。エヌビディアとは協業の関係にある。こうした動きは日本の半導体製造装置 、および素材メーカーに多大なメリットを与えるだろう。アメリカの利下げ再開、日本のテーパリング(量的金融引き締め)のピークアウト感台頭がハイテクセクターの株高を支援する。

 もちろん、エヌビディアの好決算(2025年2-4月期の売上高は前年同期比69.2%増の440.6億ドルと、四半期ベースでの過去最高を記録)がマーケットの不安を払拭した面はあろう。いずれにせよ、AIが本格普及期を迎えたのは間違いない。ちなみに、日本政府は下水道の基幹5000キロメートルの集中更新を行う。これにはAIを活用する、という。

●日本企業の時価総額は相対的に小粒!

 半導体製造装置業界では生成AIに牽引されたHBMの後工程装置の需要が伸びている、という。これらの恩恵を享受しているのが東京エレクトロン <8035> [東証P]をはじめ東京精密 <7729> [東証P]、ディスコ <6146> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、日本マイクロニクス <6871> [東証P]など。

 日本の半導体関連セクターの時価総額はアメリカ企業と比較すると、相対的に小さい。世界的な企業なのに東京エレクトロンですら11.2兆円にすぎず、アドバンテストは6.5兆円、ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]は3.5兆円、レーザーテック <6920> [東証P]は1.3兆円だ。これでは外資に飲み込まれてしまうぞ。

 SUMCO <3436> [東証P]は3535億円、イビデン <4062> [東証P]は8111億円、東京精密は3404億円にとどまる。持ち合いは崩れてきた。これでは「買ってください」と言っているようなものではないか。ちなみに、エヌビディアの504兆円は別格として、ブロードコム<AVGO>は171兆円、クアルコムは24.6兆円である。

 Aiロボティクス <247A> [東証G] はAIシステムを駆使し、スキンケア「Yunth」、美容家電「Brighte」を開発・販売している。ファブレス企業だ。マーケティングに強い。営業利益は2025年3月期が24億8000万円(前々期は12億5600万円)だったが、今期は48億円の予想だ。倍増ペースの伸びを見込んでいる。29年3月期は400億円の計画という。

 シンデン・ハイテックス <3131> [東証S]は半導体商社だ。ハイテク製品の製造受託も手掛けている。AIサーバーがデータセンター向けに好調である。1株利益は24年3月期が148.3円、25年3月期が332.8円、26年3月期が424.4円(予想)と急増している。配当は前々期が60円、前期が125円、今期が130円(予想)とする。

 株価はもみ合っている。ただ、PERは6.5倍、PBRは0.7倍と出遅れが著しい。配当利回りは4.74%ある。上場来高値は4885円(2017年11月)だ。専門商社というハンディがあるにせよ、先行き大きな水準訂正が期待できる、と思う。なにしろ、現在は第4次産業革命が進行中である。

 このほか、AI関連銘柄として好業績のAIストーム <3719> [東証S]、AI inside <4488> [東証G]、AI CROSS <4476> [東証G]、ABEJA <5574> [東証G]などをピックアップできる。

2025年6月13日 記

株探ニュース


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