【緊急インタビュー】日経平均4万円台回復、今後の展望は? 三井住友DSアセット・市川氏に聞く



―3ヵ月弱で上昇幅は9000円超、半導体株への資金回帰でリスク選好ムードも再燃―

 日経平均株価が4万円台を回復し、年初来高値を更新した。相互関税ショック時につけた4月初旬の底値から3ヵ月弱で9000円を超す反騰劇となる。イスラエルとイランのサプライズ的な停戦合意とともに、トランプ関税を巡る悲観を後退させる材料も相次ぎ、足もとでは投資家のリスク選好姿勢が強まりつつある。フシ目突破後の日本株の方向性について、三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジストの市川雅浩氏に話を聞いた。

●「過熱感高まり目先は調整含み」

市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト)

 日本株は急ピッチに水準を切り上げた。その原動力となった要因の一つは、米国の半導体株の上昇である。加えて、ベッセント米財務長官が報復税案とされる内国歳入法899条の新設の見送りを米連邦議会に要請し、相互関税の上乗せ分について米ホワイトハウスのレビット大統領報道官が一時停止の期限を7月9日以降に延期する可能性について示唆するなど、好材料が重なった。更にトランプ米大統領が米中貿易協議に関し、合意に署名したと発言している。トランプ大統領は具体的な中身は明らかにしなかったが、いずれにせよ米国の関税政策に対する投資家の警戒感を和らげる格好となった。

 日経平均の4万円台の到達は想定よりも早く、過熱感は否めない。半導体セクターの上昇もやや行き過ぎの印象がある。AIの普及を背景に半導体需要の拡大が見込まれるという中長期のシナリオとは別にして、目先のところでは調整があってもおかしくはない。全体相場に関しても、7月に入ればETF(上場投資信託)の分配金捻出を目的とした売りがかさむことが想定され、需給面を踏まえると日経平均はいったん上昇が一服し、調整含みとなる可能性がある。7月9日に市場の期待通りに、相互関税の上乗せ分に関する停止期限が延期されるかどうかも、大きなポイントとなってくる。

 日本国内に関しては参議院選の投開票が20日に予定されている。東京都議会選で自民党は議席数を減らしただけに、参院選の結果を受けて政局を巡る不透明感が一段と高まるリスクが漂っている。野党が躍進し、減税に向けた圧力が高まることとなった場合には、債券市場で超長期の債券が売られて金利が上昇することも考えられ、その場合にはマーケット全体が不安定化することとなるだろう。

 一方、日米関税交渉に目を移すと、仮に米国による自動車への追加関税が撤廃されたとしたら、多くの市場参加者にとって想定外のポジティブな出来事となる。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が継続するかどうかも注視すべき点だ。この先1ヵ月程度の日経平均については、3万7000円から4万1000円の範囲での動きとなると予想している。

(聞き手・長田善行)

<プロフィール>(いちかわ・まさひろ)
日系・米系銀行で、株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を長く担当。現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。三井住友DSアセットマネジメントのウェブサイト「市川レポート 経済・相場のここに注目」にて日々レポートを掲載中。

株探ニュース


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