【杉村富生の短期相場観測】 ─良好な需給と経営改革が株高を支援!



「良好な需給と経営改革が株高を支援!」

●外国人は14週連続の買い越し!

 猛暑が一転、ゲリラ豪雨、そして群発地震、火山の噴火など異常な状況が日本列島を襲っている。さらに、トランプ関税(日米交渉の不調)、波乱含みの政治(参院選は与党が苦戦)である。しかし、株価は意外に強い。筆者は早い段階に、NYダウが昨年12月の史上最高値4万5073ドルを奪回する、と主張している。

 日経平均株価は秋にかけて、昨年7月の史上最高値4万2426円に挑戦するだろう。マーケットでは外部環境が不透明なのに、との声が聞かれる。株価が基本的に底堅く、ジリ高をたどる、とみるのは以下の要因による。

 まず、良好な需給である。外国人は4月第1週~7月第1週に、14週連続の買い越し(現物)となった。この間の買い越し額は4兆9465億円に達する。自社株買いも活発だ。2025年は25兆円のペースになっている。

 外国人の連続買い越しは2012年11月~2013年3月の18週連続に次ぐものだ。ちなみに、このときの買い越し額は5兆6692億円だった。今回はその水準に迫っている。2012年は第2次安倍政権誕生、アベノミクスによるデフレ克服、日本再生を先取りした動きである。

 現在は政治が迷走している。真逆だ。ではなぜ、外国人は日本株を執拗に買っているのか。その理由はトランプ関税→デカップリング(経済分断)の流れを受けた国際マネーのアメリカ一極集中の是正(多極分散)の動き、企業サイドの経営改革、株主還元姿勢の強化への評価などがあろう。

 運用資産11.6兆ドル(約1700兆円)のブラックロック<BLK>の強力参入が好例である。日本企業は配当性向の目標値の引き上げ、株主資本配当率(DOE)の採用、累進配当制度の導入など、配当政策を変更するケースが相次いでいる。実に、1~6月は263社に達する。

●小粒な日本企業は買収の標的に!

 改めて述べるまでもない。外国人は委託売買代金シェアの6~7割を占める最大の投資主体である。そこが買えば上がる。売れば下がる。自然の成り行きだ。それに、再三指摘しているように、アメリカ市場の時価総額が9529兆円なのに対し、東証プライム市場の時価総額は967兆円にすぎない。ほぼ10分の1のスケールである。

 マグニフィセント・セブン(アメリカ市場の時価総額上位7社)の時価総額は2651兆円に達する。一方、日本の7人のサムライ(東京市場の時価総額上位7社)の時価総額は151兆円にとどまる。悲しいかな、18分の1の規模だ。アメリカ市場の時価総額トップはエヌビディア<NVDA>の4兆ドル強(約585兆円)である。いや~、ケタが違う。

 2位はマイクロソフト<MSFT>の546兆円、3位はアップル<AAPL>の460兆円だ。日本勢はどうか。トップはトヨタ自動車 <7203> [東証P]の39.6兆円、2位は三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]の24.2兆円、3位はソニーグループ <6758> [東証P]の22.1兆円となっている。

 いやはや、小粒である。上位3社の時価総額は1591兆円対86兆円と、比較するのが悲しい。しかし、これが現実だ。日本を代表する日立製作所 <6501> [東証P]は18.5兆円、任天堂 <7974> [東証P]は16.4兆円、アドバンテスト <6857> [東証P]は8.6兆円、東京エレクトロン <8035> [東証P]は12.7兆円にとどまる。

 さらに、半導体関連セクターのサプライヤーテクノロジー企業についてみると、東京精密 <7729> [東証P]が4061億円、イビデン <4062> [東証P]が8756億円、SUMCO <3436> [東証P]が4265億円にすぎない。メタ・プラットフォームズ<META>はAI(人工知能)企業のスケールAIに2兆円強投資する。

 ステーブルコインのサークル・インターネット・グループ<CRCL>には有力企業が相次いで出資を表明している。データセンター向けAIサーバーのコアウィーブ<CRWV>、マイクロン・テクノロジー<MU>などもキナ臭い動きだ。持ち合い解消をドラスチックに断行中の日本企業は「買収して下さい」と公言しているようなものではないか。

 個別銘柄ではジーデップ・アドバンス <5885> [東証S]、アルコニックス <3036> [東証P]、フジ・メディア・ホールディングス <4676> [東証P]、JX金属 <5016> [東証P]、住友ファーマ <4506> [東証P]、SMN <6185> [東証S]、GMOインターネット <4784> [東証P]などに思惑妙味を感じる。

2025年7月11日 記

株探ニュース


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