【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 日米合意で次のステージに進む自動車関連!



「日米合意で次のステージに進む自動車関連!」

●厳しいノルマながら、日本企業に変革のチャンスも

 まずは、「ありがとう。赤沢さん」――こういうべきだろう。経済再生担当大臣として少なくとも7回、いや、8回は訪米し、交渉に当たり続けた結果、「日米関税交渉の決裂」の回避に成功したからだ。日米間に齟齬があり、下手をすると交渉決裂、トランプ大統領を怒らせてしまう。この株式市場が最も警戒していたリスク、「日米関税交渉の決裂」が避けられたのであり、これを素直に喜びたい。

 それを受けて東京市場はご存じのように、一気にリスク回避姿勢を解き、大幅高となった。米政府は過去に徴収しすぎた関税についても7日に遡って払い戻す方針を示し、さらに自動車関税を引き下げる大統領令の発出も視野に入れているとのこと。これは日本の輸出企業にとって極めてポジティブなニュースとなる。

 このような背景から、輸出関連銘柄を中心に見直し買いが入っており、とりわけ自動車、機械、電子部品株には追い風となろう。また、今回の交渉妥結は日米関係の安定化を意味する。この点にも目を向けるべきであり、外国人投資家の継続的な買い越しも期待できる。ただし、注意すべき点として、「材料出尽くし」の反動が数日後に出る可能性がある。高値圏では利食い売りにも警戒しながら、押し目を拾う戦略が有効になる。

 物事がうまく進むとつい忘れがちだが、米国側は四半期ごとに日本側の合意実行を確認するとしている。企業も3カ月 ごとに四半期決算を発表しているが、収益を伸ばせなくても直接的なペナルティはない。しかし、トランプ大統領は合意内容の履行状況を厳しくチェックし、進展がみられなければ関税の引き上げを通告してくることだろう。こんな状況は、日本にとっては厳しいノルマになる。しかし、投資する側から見ると、日本企業の経営改善を促すだけでなく、米国での販売増、さらには米国製日本車などの国内への輸入増もあり得るわけで、産業構造に大きな変革をもたらす可能性さえある。

●関税強化の克服に関心は移る

 となると、投資対象にすべきは、いまは自動車株となる。まずは、もちろんトヨタ自動車 <7203> [東証P]だ。同社はこのほど2026年3月期の業績予想を発表した。純利益は前期比44%減、2兆6600億円の見通し。従来予想の35%減(3兆1000億円)からさらに下方修正した。営業利益も33%減の3兆2000億円、従来予想の21%減(3兆8000億円)から引き下げられた。これではとてもトヨタ株は買えない。こう考えてしまう投資家も多いだろうが、前述したようにトヨタに限らず、自動車業界にとって最悪ともいえる関税引き上げ協議は終わった。それは日本側にとって厳しい結果だったものの、15%の引き上げを受け入れた以上、市場は次のステージへと進む。今後は15%の課税強化を企業がどう克服するか、この点に関心を向けることになる。

 具体的には、すでに発表した今期予想を、今後どの程度上方修正するか。この点を見るため、まずはトヨタにそれを期待することになる。続いてホンダ <7267> [東証P]、SUBARU <7270> [東証P]となろう。こう見てよく、両社株とも大いに期待が持てる。スズキ <7269> [東証P]やマツダ <7261> [東証P]、日産自動車 <7201> [東証P]にしても、これまでよりは安定した動きとなり、スローペースながらトヨタ、ホンダを追う形になるだろう。

 これら自動車メーカー株とともに忘れてならないのが、自動車周辺銘柄だ。トヨタ系自動車関連製品を扱う商社の豊田通商 <8015> [東証P]、タイヤ世界首位のブリヂストン <5108> [東証P]、自動車用鋼材に強い大同特殊鋼 <5471> [東証P]、そして最後に自動車用防振ゴム大手の住友理工 <5191> [東証P]を挙げておく。

2025年8月8日 記

株探ニュース


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