雨宮京子氏【日経平均上値追い止まらず、買い参戦は間に合うか】(1) <相場観特集>



―最高値圏を快走、旺盛な個別株物色でリスクオン陰りなし?―

 18日の東京株式市場は日経平均株価が続伸し史上最高値を連日で更新した。ショートポジションを組んでいた向きの買い戻しで強気相場が加速する格好となっている。今週は米国で重要経済指標の発表が相次ぐほか、ジャクソンホール会議など注目イベントも控えているが、買いの勢いは止まらない。テクニカル的には過熱感は拭えないものの、押し目待ちに押し目なしの状況となっている。投資家はどう対応するべきか。ここからの相場展望と物色の方向性について、雨宮総研代表の雨宮京子氏とフィリップ証券リサーチ部長の笹木和弘氏にそれぞれ話を聞いた。

●「4万5000円台指向、個別株物色も旺盛」

雨宮京子氏(雨宮総研 代表)

 全体相場は上値指向が強い。日米関税交渉についてまだ不透明な部分は残されているとはいえ、おおむね決着をみたことが投資家心理をポジティブに傾けている。相場全体の上値追いを頓挫させる悪材料も目先は見当たらず、出遅れた向きの押し目買いが寄与する形で当面は下値を切り上げる展開が続きそうだ。日経平均の向こう1ヵ月のレンジは下値が4万1500円程度、上値については4万5500円前後とみておきたい。大手証券によると4~6月期の企業決算は1割程度コンセンサスを上回ったとされ、これがファンダメンタルズ面で市場センチメントの改善を後押しする。もっとも上げ足が急ピッチなため、やや荒い値動きで下値を探る場面も考えられるため、資金を分散して慎重に持ち高を増やしていく方針で臨むところであろう。

 外国為替市場では日米金利差の縮小思惑を背景にドル安・円高傾向にあることが、やや警戒要因として意識されているが、仮に円高が進んでも株式市場のトレンドを変えるインパクトには乏しい。また実際問題、中期的に利上げの動きが避けられないとしても日銀が即座に利上げに踏み切らないのであれば、足もとでドル売り・円買いを加速させることは考えづらい。これまで買い手控えムードの強かった 半導体や 自動車関連セクターに投資資金が回帰してくる可能性は高く、つれて全体株価にも浮揚力が働きそうだ。他方、内需株も政策面からの追い風を背に建設や不動産周辺は引き続き強調展開を期待してよいのではないか。

 個別株ではレーザーテック <6920> [東証P]、トヨタ自動車 <7203> [東証P]の押し目形成場面は拾っておくタイミングと考えている。半導体規制や自動車関税の影響もおおむね織り込みが進み、ここからの下値リスクは限定的とみる。また内需では主力大型株の中で出遅れ感の強いNTT <9432> [東証P]をまずマークしておきたい。中小型株では防災関連工事で活躍が期待される日特建設 <1929> [東証P]や、中部電力の子会社となり業容拡大に向けた期待が大きいエスコン <8892> [東証P]などに目を配っておく。材料株としては、農業予算拡充や生産性向上に向けた国策を追い風に農業総合研究所 <3541> [東証G]が異彩の強さで今後も見せ場がありそうだ。このほかバイオ関連では今月マドリードで開催される「ESC2025」や9月の日本心臓病学会などで注目度が高まっているHeartseed <219A> [東証G]もチェックしておきたい銘柄である。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券投資情報部などを経て、日経CNBC解説者に。


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