本格普及期へアクセル全開、成長加速の「eスポーツ」関連株総ざらい<株探トップ特集>



―IOCをはじめ世界的に動き活発化、日本も政府が後押しの構えでサウジと協力も―

 閉幕まで残り2ヵ月を切った大阪・関西万博。連日多くの人で賑わっているが、そのなかで前週末に注目のイベントが開催された。高校対抗の eスポーツ大会「STAGE:0(ステージゼロ)」だ。万博会場内のホールで15~17日の間、予選を勝ち抜いた各校のチームによるグランドファイナルが行われ、熱い戦いが繰り広げられた。こうしたeスポーツ大会はこれまで海外が先行して盛り上がりをみせてきたが、近年ではその流れが日本にも及び、大きなムーブメントになりつつある。活躍が期待される関連銘柄をまとめた。

●骨太の方針に盛り込み

 ゲームの腕前を競うeスポーツはここ数年で急速に広がっている。ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大期と重なるが、この時期に巣ごもり需要でゲーム市場が活況を呈したことや、外出自粛が叫ばれるなかオンライン開催できるイベントとして親和性が高かったことは大いに関係しているだろう。国内では前述のステージゼロが2019年からスタート。同大会はテレビ東京ホールディングス <9413> [東証P]と電通グループ <4324> [東証P]が共同運営するものだ。同年には国民体育大会(現・国民スポーツ大会)の文化プログラムとして「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が初めて実施され、以降毎年行われている。

 このほか、日本野球機構(NPB)とコナミグループ <9766> [東証P]がタッグを組むプロ野球eスポーツリーグ「プロスピA プロリーグ」も毎年恒例となっている。海外では「VALORANT」「EVO」といったイベントがよく知られるが、注目は世界的なビッグプレーヤーの動き。23年に「アジア版五輪」とも言われるアジア競技大会がeスポーツを正式競技に加えたが、時を同じくして本家の国際オリンピック委員会(IOC)がeスポーツイベントをシンガポールで実施。その後国際大会の新設を発表し、27年にサウジアラビアで開催することを決めた。そのサウジは原油依存からの脱却を図るべくエンターテインメント産業の育成に注力しており、昨年にeスポーツワールドカップを立ち上げた。今年も目下、開催中だ。

 世界的に動きが活発化するなか、日本も各企業の取り組みだけでなく国の後押しが欠かせない。政府が今年6月に策定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」では、スポーツ振興の取り組みの一つとしてeスポーツの活用が盛り込まれた。策定を控えた5月に自民党のスポーツ立国調査会が政府に提言を行っており、この内容を踏まえたものとみられる。昨年も調査会が提言を行い、骨太の方針に盛り込まれた経緯がある。今年1月には武藤容治経済産業相が中東を訪問し、サウジのeスポーツ連盟会長と両国間で協力を進めていくことで合意している。

●感応度抜群の親子上場銘柄

 eスポーツ市場は30年代に全世界で2兆円規模に成長するとの予測もあり、関連銘柄は中長期で要マークとなる。有力株に位置づけられるのがIT関連企業でeスポーツ事業も展開するカヤック <3904> [東証G]と、その傘下でeスポーツ大会を企画運営するGLOE <9565> [東証G](旧ウェルプレイド・ライゼスト)だ。関連銘柄としての感応度は抜群で、国民スポーツ大会の競技として本格採用が検討されていると伝わった今年6月、両銘柄は商いを伴って急動意する場面があった。

 カヤックのeスポーツ事業では大会運営ツール「Tonamel(トナメル)」、ゲームのオンライン家庭教師サービスを提供する。25年12月期の業績予想は柱のゲーム開発事業が好調で今月に上方修正を発表。売上高は前期比14%増の190億円と過去最高を更新し、純利益は同2.7倍の4億円と急拡大する見通しだ。GLOEは年間300件以上のイベント支援を行うなど経営環境は良好な一方、将来の事業成長に向けた先行投資に抜かりはなく、足もとの利益は赤字ながら今後が期待されるところ。4月にはサウジのeスポーツ関連企業と覚書を締結したことを明らかにしている。

●異業種参入にも注目、鉄道や小売り、自動車部品会社など

 eスポーツ事業を手掛ける銘柄にはNTT <9432> [東証P]やソニーグループ <6758> [東証P]、SBIホールディングス <8473> [東証P]といった各業界のリーディングカンパニーが数多く存在する。eスポーツイベントの企画運営を「RAGE(レイジ)」ブランドで共同展開するサイバーエージェント <4751> [東証P]、エイベックス <7860> [東証P]、テレビ朝日ホールディングス <9409> [東証P]の3社のほか、傘下にイベント運営会社を持つ日本テレビホールディングス <9404> [東証P]、イベント制作大手のテー・オー・ダブリュー <4767> [東証S]、更に異業種参入として注目される関西私鉄の南海電気鉄道 <9044> [東証P]や百貨店のJ.フロント リテイリング <3086> [東証P]、長野地盤の食品スーパー「デリシア」を運営するアルピコホールディングス <297A> [東証S]などがある。

 関連有力株の一つとして放送会社のブロードメディア <4347> [東証S]に注目したい。教育事業として通信制高校「ルネサンス高校グループ」を運営しており、eスポーツの強豪校として知られる。同校の入学生徒数は順調に増加中だ。業績は新規開校に向けた先行費用があるものの、それ以外の事業が寄与する形で26年3月期は営業56%増益と急拡大を予想。配当は数年前に復活し5期連続での実施を見込む。

 ゲーム情報サイト運営のGameWith <6552> [東証S]もマーク。eスポーツ分野に力を入れており、プロチーム「DetonatioN FocusMe(デトネーション・フォーカスミー)」の運営や関連イベントの開催を手掛ける。会社側では同分野への成長投資を継続しつつ主力のサイト運営の強化も図り、会社全体の利益創出を図る構えにある。26年5月期は2期ぶりの営業黒字転換を目指す。

 ゲームに特化したパソコン周辺機器を手掛ける企業も見逃せない。MCJ <6670> [東証S]やエレコム <6750> [東証P]に加え、ゲーミングマウス用のスイッチで高いシェアを持つオムロン <6645> [東証P]、ゲーミングギアブランド「ZENAIM(ゼンエイム)」を展開する自動車部品メーカーの東海理化 <6995> [東証P]がある。このほか関連銘柄として、eスポーツ関連事業を手掛けるゲーム会社のマーベラス <7844> [東証P]やシステム開発のソルクシーズ <4284> [東証S]、eスポーツ専門校を運営するヒューマンホールディングス <2415> [東証S]、プロチーム「FENNEL(フェンネル)」の運営会社と戦略的パートナーシップを結んでいるデジタルハーツホールディングス <3676> [東証P]などが挙げられる。

株探ニュース


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