【杉村富生の短期相場観測】 ─国家主義の台頭が株高を支援する!



「国家主義の台頭が株高を支援する!」

●怒り(企業と国民の叫び)の猛反騰劇は継続!

 9~10月相場は荒れる、というのは株式市場のアノマリー(説明のつかない不思議な出来事)だろう。確かに、戦前の大恐慌(株価暴落)、ブラックマンデー、リーマン・ショックはこの季節に起こっている。しかし、そのトラウマに脅え、萎縮するのはいかがなものか。外部環境は急速に変化している。すなわち、トレンドである。

 この潮流を見逃してはいけない。具体的には数年来、繰り返し主張してきたように、怒りの猛反騰劇(時価総額ベースではみな小粒になってしまった日本企業の是正の動きに加え、相対的に貧乏になった日本人の叫び)、および新東西冷戦構造(国家主義の台頭)が株高の背景にある。中国、ロシアなど強権国家と西側諸国との対立は激化するだろう。

 国家主義は個別業界の支援に端的に現れている。トランプ政権はインテル<INTC>に約1割出資するが、日本だって負けていない。東京電力ホールディングス <9501> [東証P]は優先株を通じ、政府が実質76%の株式を保有しているし、金融業界をはじめ、海運・造船、防衛、建設業界などの法的支援措置はすさまじい。次は地方・農業分野と思う。

 最近の法律改正をみると、銀行の業務多様化を目指した銀行法改正、海運・造船の復活を狙う海事産業強化法、防衛産業には防衛生産基盤強化法があった。防衛生産基盤強化法では納入業者の想定営業利益率を最高15%に引き上げている。さらに、改正建設業法では建設物に対し、物価スライド制の導入を認め、不動産業の支援を含めた内容となっている。

 さらに、第4次産業革命の進展だ。アメリカ市場ではAI(人工知能)分野の主要プレーヤーのブロードコム<AVGO>が好決算を材料に急伸、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、メタ・プラットフォームズ<META>が買われるなど、好人気である。9月16~17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げを先取りする動きもあろう。

●時価総額100兆円超えを目指すのはどこ?

 日米市場の個別企業の時価総額を比較すると、トヨタ自動車 <7203> [東証P]の時価総額はエヌビディア<NVDA>の14分の1、テスラ<TSLA>の4分の1にすぎない。情けない話である。「失われた30年」の間に、日本企業はすっかりシュリンク(縮小)してしまった。財務内容、収益力ではテスラを圧倒しているのに。

 トヨタ自動車の時価総額(現在、46.7兆円)は長期的に「100兆円」を超えても良い、と考えている。同様に業界トップの三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、野村ホールディングス <8604> [東証P]、日本製鉄 <5401> [東証P]、日本郵船 <9101> [東証P]などはスケール的に小さすぎる。

 個別銘柄ではインバウンド(富士山・箱根観光)関連の富士急行 <9010> [東証P]、大手証券が強気のJX金属 <5016> [東証P]、地方創生・農業再生の本命的な存在の井関農機 <6310> [東証P]、値動き抜群の住友ファーマ <4506> [東証P]、新値街道ばく進中のLAホールディングス <2986> [東証G]に注目できる。

 新しい銘柄としては休養十分のオリエンタルランド <4661> [東証P]、ジオスター <5282> [東証S]に妙味があろう。実は、このところイトーヨーギョー <5287> [東証S]、旭コンクリート工業 <5268> [東証S]、日本ヒューム <5262> [東証P]などが動兆しきりだ。コンクリート製品は財政出動(国土強靱化)の目玉になり得る。日本コンクリート工業 <5269> [東証P]は大商いだ。ジオスターの場合、海岸堤防整備計画(南海トラフ巨大地震に対応)のほか、日本製鉄が発行済み株式数の40.3%を保有、親子上場の解消(PBRは0.44倍)という思惑材料がある。株価は330円絡み。下ブレのリスクは乏しい。1996年には1630円の高値がある。

 AIストーム <3719> [東証S] の取締役の辛澤さんは、筆頭株主のGXパートナーズ(香港)の代表だ。この世界(株式投資)では有名人である。ウェルディッシュ <2901> [東証S]、アイフリークモバイル <3845> [東証S]などの大株主にも登場している。

2025年9月5日 記

株探ニュース


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