株主優待新設ラッシュ!「配当+優待で利回り4%超」光り輝く7銘柄 <株探トップ特集>



―高利回り株主還元に脚光、優待内容も魅力の株主優待新設銘柄ピックアップ―

 株主優待制度を通じた株主還元の動きが活発だ。9月は3月に次ぐ株主優待の権利確定が多い月で、個人投資家の関心も高まるなか、優待の新設や内容拡充に踏み切る企業が相次いでいる。最近の特徴は、優待利回りの高さに加え、長期保有を条件とする制度が広がっている点だ。短期売買による“優待狙い”の株式取得を抑制し、安定株主を確保する狙いがある。新NISA(少額投資非課税制度)の普及を追い風に、個人投資家の長期保有志向と呼応する形で優待戦略を強化する企業が注目を集めている。

●今年の優待新設は130社を突破

 足もとで株主優待を導入する企業が急増している。「株探」集計によると、2025年8月末までに株主優待制度の新設や再開を発表した企業は130社を超えた。既に24年1年間の新設数に匹敵する水準で、優待制度の存在感が再び高まりつつあることがうかがえる。

 優待内容にも変化が見られる。かつては自社製品や割引券が主流だったが、近年はQUOカードやデジタルギフトなど汎用性の高い金券型が広がりをみせている。特にデジタルギフトは、Amazonギフトカードや電子マネーに交換できる利便性の高さが魅力だ。贈る側にとっても配送コスト削減などのメリットがあり、採用する企業が増加している。

 一方で、過去には逆風にさらされる時期もあった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う業績悪化や公平な利益還元を理由に、20年からは優待の廃止件数が新設件数を上回る状態が続いた。しかし、23年には再び新設数が廃止数を上回り、流れは縮小から拡充へと明確に転換している。

 こうした背景には、東京証券取引所による市場改革がある。上場企業には資本効率や株価水準の改善が強く求められており、個人株主を呼び込む手段として優待制度の再評価が進んでいる。更に、新NISAの開始も追い風だ。個人投資家層の裾野が広がるなか、安定株主づくりや株価の下支えなどを狙って優待戦略を強化する動きが鮮明となっている。

●9月に権利確定を迎える注目優待株

 今回は足もとで株主還元姿勢を強める企業に注目し、25年に新設された優待制度を持つ企業の中から、株主優待と配当を合わせた「総合利回り」が4%超で、業績面も堅調な銘柄をピックアップ。更に、優待内容をQUOカードやデジタルギフトといった使いやすいものに限定し、投資妙味と安心感を兼ね備えた有望株を7銘柄厳選した。なお、株主優待と配当を獲得するには、権利付き最終日(権利確定が9月末の企業は9月26日)に株式を保有することが必須条件となる。

※「総合利回り」は配当と株主優待を合算した年間ベースの利回り。9月8日現在の配当、優待品、株価から算出。

◎日本空調サービス <4658> [東証P] 【総合利回り】4.37%

 空調を中心とした設備メンテナンスで安定的な収益基盤を築く。長期にわたり着実な収益成長トレンドが続いており、自己資本比率50%超と財務基盤も堅固だ。株主還元については配当性向50%程度、純資産配当率(DOE)5%程度を目安とし、26年3月期の配当は46円(中間期と期末に23円ずつ)を計画する。一方、株主優待の基準日は9月末のみで、100株以上を保有する株主に1000円分のQUOカードを贈呈する予定だ。配当と優待を合わせた総合利回りは4%を超え、中長期の安定投資先として注目したい。

◎DAIKO XTECH <8023> [東証S] 【総合利回り】4.18%

 富士通 <6702> [東証P]系のシステムインテグレータ。企業の旺盛なITシステム基盤の刷新ニーズを追い風に、ソフトウェアソリューションの受注が伸びており、26年3月期は増収営業増益を見込む。株主還元にも積極的で、4月までに4億円規模の自社株買いを実施したほか、今期配当は前期比4円増の36円(中間期と期末に18円ずつ)と5期連続で増配する計画だ。株主優待は年1回の実施で、毎年9月末に100株以上を保有する株主に対し、QUOカード1000円分、3年以上保有者には2000円分を贈呈する。

◎キーウェアソリューションズ <3799> [東証S] 【総合利回り】5.29%

 幅広い分野の社会インフラを支えるITサービス企業。26年3月期は官公庁や監視制御系を中心としたシステム開発案件などを取り込み、営業利益11億円(前期比19.4%増)と18期ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。配当は前期比2円増の34円(中間期と期末に17円ずつ)を見込む。株主優待は毎年9月末と3月末時点で300株以上を半年以上継続して保有する株主に、3000円分のQUOカードを年2回贈呈する。ただし、初回の25年9月末は特例で継続保有条件を外しており、投資家にとって参入しやすくなっている。予想PER10倍台と指標面も割安で、総合利回りは5%超と妙味十分だ。

◎大豊建設 <1822> [東証S] 【総合利回り】4.88%

 トンネルやダムなどの土木工事に強みを持つ中堅ゼネコン。株主優待は毎年9月末と3月末時点で100株以上を保有する株主を対象に、保有株数と保有期間に応じて500~5000円分のQUOカードを年2回贈呈する。長期保有優遇が特徴で、100株を3年以上継続保有した場合、期末一括配当32円と合わせた総合利回りは7%超に達する。3月末には投資家層の拡大を目的に1株を5株にする株式分割を実施した。22年に筆頭株主が旧村上ファンド系の投資会社から麻生(福岡県飯塚市)に移り、安定株主の下で株主還元姿勢を強めている。

◎ニーズウェル <3992> [東証P] 【総合利回り】7.84%

 金融向けの業務系システム開発が主力。足もとでは注力分野のAIソリューションビジネスが絶好調だ。東証プライム市場上場維持に向けて、株主還元を積極化しており、今年1月に配当性向を従来の35%以上から45%以上に引き上げた。25年9月期は前期比3円増の12円(期末一括)に増配する方針だ。また、株主優待も導入し、9月末と3月末を基準日として1000株以上を対象に1万5000円分のQUOカード(年間3万円分)を贈呈する。配当と合わせた総合利回りは7%超に達し、株主還元強化を背景に存在感を高めている。

◎レントラックス <6045> [東証G] 【総合利回り】8.10%

 成果報酬型のインターネット広告を手掛け、金融分野を中心に成長を続けている。動画広告需要の高まりを背景にネット広告市場が拡大するなか、26年3月期は営業利益段階で2期連続の最高益更新を目指す。株主還元強化も鮮明で、前期に記念配当から継続的な普通配当へ移行し、今期配当は前期比1円増の24円(中間期と期末に12円ずつ)を計画。更に、株主優待を新設し、3月末と9月末に100株以上保有する株主へ5000円分のデジタルギフトを年2回贈呈する。実用度の高い優待と合わせた総合利回りは8%超と高水準で、株主重視の姿勢が際立つ。

◎Smile Holdings <7084> [東証G] 【総合利回り】6.12%

 首都圏を中心に認可保育所を運営。25年3月期は認可保育グループが業績を牽引する形で、3度の上方修正を経て、営業利益4億1000万円と過去最高を大幅に更新し、初配当95円を実施した。26年3月期からは株主優待制度を新設し、7500円分のデジタルギフトを年2回贈呈する。対象は毎年9月末と3月末に300株以上を6ヵ月以上継続保有する株主だが、初回(25年9月末)のみ継続保有の条件は免除される。利回りは配当(95円、中間期と期末に47円50銭ずつ)だけで4%と高水準だが、優待を含めると6%台に上昇し、手厚い株主還元が魅力となっている。

株探ニュース


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