【植木靖男の相場展望】 ─日経平均5万円に向けて出直りか



「日経平均5万円に向けて出直りか」

●インフレ下でバブル相場の地ならしが進む

 日経平均株価は9月初旬に押し目をつけた後、順調に上昇してきたが、チャート上のチェックポイントに到達したこともあって一服商状となった。もっとも、4日連続安を経て10月2日に反発に転じると、週末3日は832円高と大幅高を演じ、チャートは買い転換した。

 この4日連続安の背景だが、機関投資家が期末を迎えて持ち高調整の売りを出したこと、また配当落ちといった季節的な要因が大きく、一時的な下げであったと言えよう。

 では、今後はどう展開するのか。材料的には4日に自民党総裁選の結果が判明する。5人の候補者が各々自説をアピールするが、かつて田中角栄氏が唱えた日本列島改造論の如く壮大なシナリオを掲げる者も、天下国家を論じる者もない。まさに小粒との評価だ。

 市場からすれば、「財政拡張策を唱えるのは誰か?」に関心が集まる。いまの日本経済にとって財政問題は避けて通れない。しかも、少数与党での政権運営となり、野党の協力を得ることが必須となれば、財政政策の取り扱いは新総裁にとって大きな課題となろう。

 また、物価対策にしても野党の主張する給付金、減税は逆に物価高を煽るリスクがある。まして現在、物価上昇はわが国だけの問題ではない。世界各地で異常気象に伴う食品価格の上昇が起きており、国内の食品価格はさらに上昇が見込まれる。大正時代の米騒動時と同じく、今後1年くらいは高インフレが続くのではないか。

 物価上昇への対策は、日銀による利上げしかないはず。だが、金融引き締めは後手に回ってしまうことだろう。これは、消費者物価指数の構成項目には土地価格が入っていないからだ。

 こうした事態に、株価は敏感に反応する。このまま日経平均株価が上昇して5万円に達すれば、多くの市場関係者がバブルの発生を予見するようになる。株価がさらに上昇すれば株式の担保価格が一段と高まり、銀行貸し出しが増える。過剰流動性の拡大であり、まさしくバブルのメカニズムが回り出す。

 大正時の株価上昇、そして平成バブルと同じプロセスといえる。こうした状態に対し、市場はどのような絵、シナリオを描くのだろうか。平成バブルのときは土地を活用してリストラクチャリング(事業の再編成)が進むという絵を描いた。今回はどうか。

●時流に乗るテーマ株の循環買いか

 では、当面の物色はどう展開するのだろうか。日経平均株価の5万円到達までは、これまで通り、防衛や金融、データセンター、半導体などのテーマに沿った循環買いが続くとみる。

 さらに、ここへきての物色の特徴として、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]の3銘柄が、日経平均株価の上昇に大きく寄与している点が挙げられる。

 こうした展開が目先続くとすれば、値動きを考慮しながら、この3銘柄だけを対象とした投資に徹するのも面白いかもしれない。もちろん、腕に自信のある投資家向けの、短期売買に限っての話であり、チャート分析のテクニックを駆使して臨むことになる。

 さらに物色範囲を広げて銘柄を挙げると、まずはアルミ市況が上向き始めていることから日本軽金属ホールディングス <5703> [東証P]、同じく非鉄から出遅れ感のある東邦亜鉛 <5707> [東証P]に注目したい。

 IT関連では、5月に上場来高値3675円をつけたあと調整が続くGMOインターネット <4784> [東証P]を。このほか、ややリスクもあるが日立製作所 <6501> [東証P]や楽天銀行 <5838> [東証P]も捨てがたい。

 そして、前述したソフトバンクグループ、アドバンテストは目先的に妙味がありそうだ。下げれば即撤退も選択肢に、出直しを待つところか。

2025年10月3日 記

株探ニュース


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