【杉村富生の短期相場観測】 ─日米両市場ともに、先物主導の展開!



「日米両市場ともに、先物主導の展開!」

●アメリカは「就職氷河期」に突入?

 日米両市場ともにインデックス(先物)主導の展開である。アドバンテスト <6857> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]などが集中的に物色されている。正直、個人投資家はこの動きに「ついていけない」との声が多い。基本的に、ツーティア(2極化)・マーケットだろう。

 NYダウ、 NASDAQ総合指数は史上最高値を爆進中だ。つなぎ予算の不成立、連邦政府の窓口閉鎖など、まったく関係なし、といった状況になっている。しかし、これは「恒例行事」とはいえ、連邦職員の75万人が自宅待機、15万人超が退職というのは異常である。トランプ政権はOMB(行政管理予算局)を使って業務効率化を求めている。

 対象は全省庁だ。これは極めて危険である。職員削減は採用の減少を意味する。新卒者にとっては「就職氷河期」突入じゃないか。民間企業はトランプ関税の価格転嫁が不可能なため、雇用削減(コスト圧縮)を進めるだろう。引っ張りだこのIT技術者はAI(人工知能)に取って代わられる可能性があろう。いわゆる、労働市場の縮小である。

 これは将来的に、個人消費の落ち込みにつながる。なにしろ、収入がなくなったり(失業)、正社員→パート・アルバイトへのシフトによって給与が減る。過去、アメリカ市場は連邦政府の窓口閉鎖が目先の天井になるケースがあった。国立公園、図書館の閉鎖でもそうだ。今回はスケールが大きい。それだけに、警戒を要する。

 なお、アメリカ市場ではペニーストック(ボロ株)と呼ばれる株価5ドル以下の銘柄が人気を集めている。キャノピー・グロース<CGC>、ティルレイ・ブランズ<TLRY>、オーロラ・カンナビス<ACB>など大麻関連が中心だ。質は悪い。ただ、物色意欲の強さが新しい銘柄(投資対象)を探しているのだと理解できる。

●ソニーフィナンシャルグループは?

 一方、日本市場では個人投資家好みの銘柄は分が良くない。アメリカ市場では機関投資家はペニーストックを嫌う。では、何と株価1ドル以下(10月3日の安値は139円)のソニーフィナンシャルグループ <8729> [東証P]はどうか。9月29日の上場以来、投げ売りの嵐にさらされ、NTT <9432> [東証P]と安値を競っている。

 ソニーフィナンシャルグループは低収益(2026年3月期の1株利益予想は11.7円)、低配当(会社計画は3.5円)に加え、発行済み株式数が約71.5億株と過大だ。株高に転換するにはこの吸収(1000億円の自社株買いでは不足)が不可欠となろう。

 全般相場については抜群に強い展開だが、自民党新総裁就任(緊縮財政論者)、波乱の10~11月相場を念頭に、慎重な対応が必要な局面だと考えている。無理は禁物だ。状況は4月7日(日経平均株価は3万0792円の安値)と真逆のパターンである。このときは先物による売りたたき、現状は先物を使った買いあおりである。

 昨年6~7月は「半導体関連であらずんば株にあらず」と言われたものだ。状況は似ている。急騰相場に乗れなかった人は焦る必要はない。買いチャンスは必ず訪れる。「もう、辛抱たまらん」とばかりに飛びついて、何度つらい思いをしたことか。なにしろ、主役は再帰性理論のヘッジファンドである。効率的市場仮説とは違う。

 2025年12月期の配当を10円(前期は5円)とするFIG <4392> [東証P]、アクティビストが介入しているシンクロ・フード <3963> [東証P]、経営権を巡る争いがあるnms ホールディングス <2162> [東証S]、西友を買収し全国制覇を狙うトライアルホールディングス <141A> [東証G] に注目できる。

 日銀は10月29~30日の金融政策決定会合において、利上げに進む公算が強まっている。先日、日銀幹部の話を聞く機会があったが、「日本経済の基調は強い。金融正常化の条件は整った」ということだった。横浜フィナンシャルグループ <7186> [東証P]は社名を変更、飛躍を期している。統合の成功例となろう。

2025年10月3日 記

株探ニュース


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