【植木靖男の相場展望】 ─AI・半導体関連株の命運は?



「AI・半導体関連株の命運は?」

●強調相場はなおも続くか

 日経平均株価は10月月間で前月末比7478円高と急騰を演じ、5万2400円台に乗せた。歴史的な上昇ぶりだ。

 こうした強調展開の背景は何か。海外的には米中対立懸念の後退や、ハイテクを中心とした米国株の予想外の好調、米利下げへの期待などがある。

 一方、国内的にはなんといっても高市政権への高い評価が、カラ売りの買い戻しと相まって株価を押し上げている。

 ただ、 TOPIX(東証株価指数)も上昇はしているが、日経平均株価に比べて出遅れが目立つ。日経平均株価の強さが際立っているのは、限られた銘柄、つまり AI(人工知能)・ 半導体関連のソフトバンクグループ <9984> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]などが、時に1銘柄で指数を1000円も押し上げているからだ。

 逆に言えば、こうした限られた銘柄が下落すれば、日経平均株価の下げは厳しいものとなる。それは直ぐではないにしても、東証プライム市場の売買代金が過去最高の10兆円超を記録する日が現れるなど、未踏の高値圏にあるだけに過熱への警戒は怠れない。

 それにしても「年内の5万円大台乗せ」は、多くのストラテジスト、アナリストにとって予想外の展開となったと思われるが、なぜ読めなかったのか。要は目先の業績やマクロ指標を悲観しすぎたということだろう。これは今後の先行きを見通すうえで極めて重要なことだ。

 では、当面の株価をどうみるか。通常の景気変動からみる限り、5万円はほぼ想定され得る目標値に達したといえる。しかし、個別にみると、AI・半導体関連のような成長株の循環買いの持続期間は経験的に他のテーマ株よりも長いのが特徴だ。

 したがって、もうしばらくは今回の強調相場は続くとみられる。ソフトバンクグループやアドバンテストが天井を打った時に、このAI・半導体関連の循環買いは終了する。

 その後はどうなるのか。大正時代のバブル期では、当時の原内閣が「せっかく好景気が訪れているのに、なにも進んで不景気にすることはない」と利上げを遅らせた。これは現在の状況と似通っている気がする。結果的に利上げは後手に回るかもしれないのだ。だとすると、当面どこかで一服するとして、いずれ投機熱が燃え盛り、株価はバブル化することになるのではないか。

●3連休明け初日の動向がカギを握る

 当面の物色対象はどうか。いまはAI・半導体関連株がどこまで持続するかを注視する段階にあるといえよう。先に述べたように、人気株の代表格であるソフトバンクグループとアドバンテストの経過次第である。

 この2銘柄が高値をつけると、それに準じる銘柄も買われるが、「親亀がこければ、子亀もこける」ことになる。そうした二番手、三番手銘柄にはあまり手を出さない方が賢明といえよう。一方、この2銘柄については逆張りに徹したい。

 以上を踏まえて、この局面では三菱電機 <6503> [東証P]、日本マイクロニクス <6871> [東証P]、TOWA <6315> [東証P]などに注目したい。また、小売りのイオン <8267> [東証P]はここへきて人気が急速に高まっている。

 さらに野村総合研究所 <4307> [東証P]や味の素 <2802> [東証P]、業績絶好調の東宝 <9602> [東証P]など。このほか、東京電力ホールディングス <9501> [東証P]や東京ガス <9531> [東証P]などの電力・ガス銘柄も意外高をみせるかもしれない。無視できない存在ではないか。

 いずれにしても、全般株価は11月第2週の初日、つまり3連休明け初日の4日の動向が当面の鍵を握っているとみたい。

2025年10月31日 記

株探ニュース


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