開花する製造業の底力、表舞台に躍り出る「バイオものづくり」関連株 <株探トップ特集>



―秘める高い市場ポテンシャル、30~40年には約165兆円の経済効果とも―

 米国とイスラエルの攻撃を受けたイランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことで、ナフサ(粗製ガソリン)をはじめ原材料の調達が不安定になり、さまざまな業界で生産活動の継続に懸念が生じている。製造業の底力が試されている局面といえるが、世界に誇る技術や製品を持つ日本企業は多い。そこで注目したいのが日本独自の強みを持つ分野を中心に選定された高市早苗政権の「重点投資対象17分野」で、そのひとつが「合成生物学・バイオ」だ。なかでも今回は製造業の新たなイノベーションとして高い市場ポテンシャルとビジネスチャンスを秘める「 バイオものづくり」にスポットを当てた。

●主要な製品・技術に選定

 経済産業省によると「バイオものづくり」とは、遺伝子技術を活用して微生物や動植物などの細胞によって物質を生産することで、化学素材、燃料、医薬品、動物繊維、食品など、さまざまな産業分野で利用される技術。具体的には「生物の代謝機能により有用物質を産生させる技術」「細胞自体を増殖・高密度化させて有用物質の基礎を形成する技術」であり、細胞などに存在する遺伝子やゲノムを編集・組み換えることで有価物をつくるほか、生産性を向上させることも可能となる。

 高市政権が最重要政策に掲げる経済成長実現のための司令塔として設置された日本成長戦略会議は3月10日、戦略17分野のうち集中的に支援すべき61の製品・技術を提示。そのひとつが「バイオものづくり」で、選定された背景には素材・食品・エネルギーなどの新たな製法として、2030~40年には約165兆円の経済効果が見込めることがある。

 政府は今後の方向性として、発酵産業の蓄積などで強みがある実験・製造工程に加え、人工知能(AI)・データ活用や革新的な基盤技術開発により設計・解析工程を強化し、高効率な製造技術を確立する方針。基盤となるバイオ製造技術の優位性の確保及び高付加価値領域(高機能成分・素材など)を中心とするグローバルでの市場獲得とともに、経済安全保障の確保や脱炭素の観点から国内生産が肝要となる製品領域について、輸入製品に代わりバイオものづくりによる国内生産品の市場拡大を目指す構えだ。

●NEDO事業の関連銘柄

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、未利用資源の収集・原料化、微生物などの改変技術、生産・分離・精製・加工技術、社会実装に必要な制度や標準化などバイオものづくりのバリューチェーン構築に必要となる技術開発及び実証を一貫して支援する「バイオものづくり革命推進事業」に取り組んでいる。

 NEDOの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」では、ハリマ化成グループ <4410> [東証P]が3月12日、地球環境産業技術研究機構(RITE)と狙った製品を高効率に生産するよう設計した細胞であるスマートセルを用い、化粧品・サプリメント・食品分野で需要が拡大している「リコピン」の大量生産技術の開発に成功したと発表。サンプル提供を順次開始し、26年度内に製品を上市、30年度に売上高20億円を目指す。

 Green Earth Institute <9212> [東証G]は、日本製紙 <3863> [東証P]と「純国産木材バイオリファイナリーによる世界最高クラスの低炭素バイオエタノール生産プロセスの開発」事業を24年度から実施している。3月3日には26年度から27年度までの2年間延長分を含む交付決定通知を受けたと発表。同社が受領する補助金の金額は、それぞれ6126万円、3050万円となる。

 花王 <4452> [東証P]は2月16日、NEDOに「未利用バイオマス資源を活用した産業を創出する糖化酵素供給プラットフォームの構築」を提案し、採択されたことを明らかにした。同社は長年にわたり培ってきた独自の技術を活用し、実用性の高い糖化酵素の創出を目指して、研究開発から生産技術、製造設備設計までを一体的に推進するとしており、NEDO事業で得られた知見は、今後のバイオ事業に展開していく予定だ。

 また、不二製油 <2607> [東証P]、ファーマフーズ <2929> [東証P]、日本毛織 <3201> [東証P]、大王製紙 <3880> [東証P]、レンゴー <3941> [東証P]、高砂香料工業 <4914> [東証P]、島津製作所 <7701> [東証P]、ZACROS <7917> [東証P]、長瀬産業 <8012> [東証P]などもNEDOから研究開発の委託を受けている。

●HMTなどにも注目

 このほかではコニカミノルタ <4902> [東証P]が3月13日、産業技術総合研究所(AIST)と混合樹脂の混練及び成形の条件をAIで最適化する技術を確立したと発表。それぞれのコア技術を融合・発展させた技術で、少ないデータで予測可能なAIモデルを構築し、樹脂成形品の品質安定化につなげるという。この技術は今後、同社のセンシング技術を活用した計測ソリューションや、インテリジェント再生材、バイオものづくりのプロセスモニタリングへの応用を目指すとしている。

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ <6090> [東証S]は1月6日、GEIとバイオ燃料などバイオ化学品の生産性向上に向けて協働での取り組みを開始したと発表。GEIが持つ菌株の遺伝子組み換え技術及びスケールアップ最適化技術と、HMTのメタボローム解析技術を組み合わせることで、バイオマス資源と微生物を用いたバイオ化学品原料やバイオ燃料などを生産する発酵プロセスの最適化を図るという。

 これ以外では、バイオ燃料や機能性食品などへの活用が期待される微細藻類の関連銘柄も見逃せない。パス <3840> [東証S]は子会社がビニールバッグによるフコキサンチンを含有する微細藻類2種(パブロバ、フェオダクチラム)の室内培養に成功しているほか、ユーグレナ <2931> [東証P]はサティス製薬(埼玉県吉川市)と3種の微細藻類(ユーグレナ、オーランチオキトリウム、クロレラ)からヒト型を含む3種の超長鎖セラミドを世界で初めて発見し特許を出願。ちとせグループ(本社シンガポール)が中心となって発酵・藻類・培養細胞・農業などバイオ生産全体の最適化・高度化を目指している新プロジェクト「メトリクスMATSURI」には、三菱化工機 <6331> [東証P]、アズビル <6845> [東証P]、堀場製作所 <6856> [東証P]、浜松ホトニクス <6965> [東証P]などが参画している。

株探ニュース


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