企業統治強化が株高呼ぶ、「TOPIX改革第2弾」で生き残り競争活発化 <株探トップ特集>



―10月最終営業日に入れ替え、スタンダード・グロース銘柄が新規採用へ―

 日経平均株価は4月27日に初めて終値で6万円乗せを達成した。AI・半導体関連株の大幅な上昇が高い関心を集めるが、見逃せないのは東京証券取引所がコーポレートガバナンス(企業統治)改革を進め、「ROE上昇」や「脱PBR1倍割れ」に向けた動きが、市場全体を大きく押し上げたことだ。そんななか、東証の企業統治改革の動きは加速しており、10月には「東証株価指数(TOPIX)改革第2弾」が始まる。TOPIX採用銘柄は一段と絞り込まれ厳選化が進むなか、新規採用や残留に向けた企業間競争が活発化することが予想されている。

●足もとでは「コーポレートガバナンス・コード」改訂が進行

 日経平均株価は4月に一時6万円に到達したが、年間ベースで2025年まで3年連続で2ケタ上昇を演じており、今年も4月末時点で約18%上昇している。この近年の株価急伸の原動力となったのはグロース株ではAI・半導体関連株の上昇だが、バリュー株の押し上げに効いたのは、何と言ってもコーポレートガバナンス改革だ。22年4月に東京証券取引所は市場区分を再編し現在の「プライム」、「スタンダード」、「グロース」の3市場体制とし、更に23年3月には「資本コストや株価を意識した経営の実現」の要請を行い、ROEの上昇とPBR1倍割れの是正を推し進めた。

 東証の市場改革は加速しており、例えば上場維持基準に届かない3月期決算企業の「改善期間」は3月31日に終了し、10月には未達企業は原則として上場廃止となる。また、足もとではコーポレートガバナンス・コードの改訂に向けた動きが進められている。同改訂は7月をメドに実施される見通しであり、上場企業が現預金を含む経営資源を成長投資に有効に活用できているかについての検証を求めることなどが進められそうだ。

●TOPIX構成銘柄は一段と絞り込まれ厳選化進む

 更に市場の関心を集めているのが、今秋からTOPIX改革の第2弾が始まることだ。同改革は、TOPIXの投資対象としての機能性を高めることなどを目的としている。第1弾では、22年4月の市場区分の再編時に約2200社だったTOPIX構成銘柄数は、流通株式時価総額100億円未満の流動性が低い銘柄の比率が段階的に引き下げられることなどで、25年1月には約1700銘柄に削減された。

 そして、今年10月からの改革の第2弾では、25年8月時点の試算では完了時の28年7月には約1100銘柄に絞り込まれる見通しだ。入れ替えの基準日は8月最終営業日。10月最終営業日に1回目の移行が行われ、除外銘柄の比率は約2年をかけ段階的に引き下げられ、最終的にゼロとなる。27年10月に一部見直しの再評価を行う。28年10月以降は毎年10月に定期入れ替えを実施する。

 この改革の第2弾の特徴のひとつに、スタンダード銘柄やグロース銘柄が組み入れ対象となることがある。昨年8月時点の試算では両市場から約50銘柄が採用される見通しとなっているが、TOPIXへの新規採用は第2弾の目玉となりそうだ。また、新規上場銘柄に関しては、11月以降はプライム、スタンダード、グロースへの上場銘柄のうち一定基準を超えた銘柄がTOPIXに採用されることになる。

●マクドナルドやワークマン、アストロHD、Synsなど新規採用も

 今後の株価動向に左右される面は大きいものの、市場ではスタンダード上場のTOPIX採用候補銘柄として日本マクドナルドホールディングス <2702> [東証S]やフェローテック <6890> [東証S]、上村工業 <4966> [東証S]、千代田化工建設 <6366> [東証S]、東映アニメーション <4816> [東証S]、ナカニシ <7716> [東証S]、ヨネックス <7906> [東証S]、セリア <2782> [東証S]、ワークマン <7564> [東証S]などを挙げる見方が出ている。

 また、グロース市場の上場銘柄ではトライアルホールディングス <141A> [東証G]やジーエヌアイグループ <2160> [東証G]、それに宇宙関連銘柄のアストロスケールホールディングス <186A> [東証G]、Synspective <290A> [東証G]、QPSホールディングス <464A> [東証G]なども候補とされている。昨年12月に新規上場した大型蓄電池製造のパワーエックス <485A> [東証G]も候補銘柄だ。

●TOPIX残留に向け株主還元策の積極化の動きも

 その一方で、除外ラインで前後する銘柄は「基準日となる8月最終営業日に向けて生き残りをかけ、株主還元策を積極化する可能性もある」(市場関係者)とみられている。アナリストからは、現在のTOPIX構成銘柄のうち浮動株時価総額が400億円程度を下回ると除外の可能性が高まるとの指摘も出ている。こうしたなか、除外ラインにある企業が決算発表や株主総会で増配や自社株買いなどを発表し、株価上昇を図ることも起こり得るだろう。

 更に、今秋の入れ替えで新規採用されたり、あるいは残留に成功したりしたとしても、その後も毎年の入れ替えがありTOPIX採用銘柄として生き残るためには、絶えず企業価値を高めることが求められる。TOPIX改革の第2弾は、東京市場の一段の株価上昇を促進する要因となりそうだ。

株探ニュース


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