明日の株式相場に向けて=決算発表済みの銘柄に金剛石は眠る


 3連休明けとなった5日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比421円高の3万8474円と大幅反発。米大統領選の投開票を目前に、相変わらず先物に振り回され猫の目のように変わるハイボラ相場である。そうしたなか、きょうから取引時間が30分延長になった。違和感を覚える投資家も多かったと思われるが、注目はクロージングオークションであり、売買が成立しない注文受付時間を15時25分から5分間設けた後、15時30分に板寄せを行うもの。例えば売買代金首位のディスコ<6146.T>を例に挙げると、15時24分に4万4600円で値をつけたのを最後に6分間値が付かず、15時30分に4万4540円で終値を形成。株価的に大きな変動はなかったほか、売買代金についてはこの間にほぼ11万株をこなし、1分間あたり平均約1万8000株をこなした勘定で、これは平常ペースとそれほど差はない。なお意外だったのはプライム市場全体の売買代金で4兆円強にとどまり、30分取引時間を延長したものの前週末(4兆4900億円)より約10%減となった。もっとも、きょうは初日で参戦を控えた機関投資家も多かった可能性はある。 

 個別株の物色の流れは決算プレーオンリーといってもいいような状態だ。テーマ買いの動きは鳴りを潜めている。例えば、最近では高市トレードのリバイバルで助川電気工業<7711.T>などが買われたが、単発的で横に広がらない。また、ひと頃は石破内閣発足を受け三菱重工業<7011.T>などが物色人気に沸いたが、これも頭打ちとなり、ほどなく人気前の水準まで往って来いとなった。防衛関連は何も石破政権だから買われるというわけではなく、グローバルな視点で今後の日本の方向性を示唆したものであるはずだが、そういう理屈では売り圧力を抑制できないようだ。結果として、政策テーマに乗る銘柄を中期投資で溜め込むような、実需買いをベースとした動きは後退を余儀なくされている。

 今月中旬くらいまでしばらくの間は、決算発表後にボラティリティが極大化する銘柄をターゲットとした短期トレードがマーケットを席巻することになろう。とはいえ、決算跨ぎの買いは丁半博打に近い。仮に予想通り好決算を発表したとしても、事前のコンセンサスに届かないという理由で、理不尽なほど売りの砲火を浴びるケースもある。

 当該銘柄の決算内容の良し悪しだけでなく、事前のマーケットの熱量も考慮しなければならず、ここまで読み切るのは至難の業だ。では、この時期に博打的トレードではなく、もう少し時間軸の長い投資を考えた場合、どういうスタンスをとるべきか。これは「好決算を発表済みの銘柄」の中から順張りで取れそうな銘柄を探すことが有効といえる。

 候補を挙げると、工業炉トップシェアを誇る中外炉工業<1964.T>、製造・開発分野の技術者派遣を行うジェイテック<2479.T>、工具や補修部品などのネット通販を手掛けるMonotaRO<3064.T>、消防車のトップメーカーのモリタホールディングス<6455.T>などが強い動きで、順張りの流れに乗っている。カタログ通販を祖業にネット通販にも傾注し、インバウンド特需の取り込みも進むスクロール<8005.T>も面白いチャートを形成している。これらの銘柄はすべて10月末に好決算を発表済みである。

 このほか番外編として、同じく10月末に決算発表を行った銘柄の中で愛知製鋼<5482.T>の強力な下値切り上げ波動も刮目に値する。トヨタ系の自動車向け特殊鋼大手だが、業績は原料コスト高騰に抗えず24年4~9月期は営業3割減益と厳しい状況にある。トップラインは堅調ながら利益は減速が顕著。しかし、株価は上値指向が鮮明だ。他社と一線を画す加工技術を持ちながらPBR0.3倍台と何と解散価値の3分の1の水準に放置。そこに目をつけたのが旧村上ファンド系のアクティビストで、共同保有で株式買い増しを続けている。決算通過で怖いものがなく、追随買いも誘導されやすくなっている。

 あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(9月19~20日開催分)、11月の日銀当座預金増減要因見込みが朝方取引開始前に開示される。海外ではマレーシア中銀の政策金利発表、ブラジル中銀の政策金利発表のほか米国では30年物国債の入札が予定される。国内主要企業の決算発表ではJFEホールディングス<5411.T>、ダイキン工業<6367.T>、IHI<7013.T>、トヨタ自動車<7203.T>、日本郵船<9101.T>、NTTデータグループ<9613.T>、ニトリホールディングス<9843.T>などがある。海外主要企業ではクアルコム<QCOM>、アーム・ホールディングス<ARM>の決算に注目度が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS


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