明日の株式相場に向けて=トランプ・エフェクトでAI周辺株が繚乱


 きょう(22日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比618円高の3万9646円と続急騰。直近は3営業日続伸であっという間に1200円近く水準を切り上げた。トランプ・エフェクト恐るべしである。前日はヘッドライントレードの弊害を口にする市場関係者も多かったが、コメントの影響力がプラスに作用する日もある。きょうはわずかな羽ばたきが海を渡って巨大な旋風と化し、東京市場の半導体関連やその周辺株を押し上げた。

 前日に続きディスコ<6146.T>が売買代金で群を抜き、株価も連日の大幅高と気を吐いた。前日の当欄では、同社株が目を見張る大商いで株価水準を一気に切り上げても、単発では半導体関連への投資資金の潮流変化を示唆しないと述べたが、今回は半導体セクター全般への投資資金還流の号砲だったようだ。ディスコは4~12月期の決算発表をあすに控えるなかで連日にわたって躊躇なく買い進まれた。これは特筆に値する。なぜなら、あす発表される同社の決算については、営業利益が前年同期比5割増の1100億円強になったもようである、という日本経済新聞の観測記事が18日時点で出ているからだ。これを背景にいったんはポジティブ視した買いを引き寄せたものの、報道内容から決算が大きく上振れることは考えにくく、当日出尽くし売りへの警戒感から、きょうは一段の上値は買いづらいとみるのが普通の投資家心理である。しかし、そうはならなかった。

 きょうのディスコの株価パフォーマンスについては貸株調達による空売り筋の買い戻しだけでなく、実需面からも同社株を持ち高調整で外していた海外機関投資家が拾い直している動きが反映されたとみられる。前日も触れたように、半導体関連は生成AI組とスマホ組に分かれ株価も明暗を分けているが、ディスコはアドバンテスト<6857.T>と共に前者のグループ、つまり勝ち組に属しており今なお機関投資家の視線は熱い。

 もっとも、きょうの主役はディスコではなく、ソフトバンクグループ<9984.T>である。前日にトランプ米大統領が、民間企業による米国のAIインフラへの巨額投資を発表しており、これを受けて米国株市場ではAI用半導体関連を含め、生成AI関連に位置付けられる銘柄群に買いが向かった。そして、4年間で5000億ドル、日本円にして約78兆円という巨額のAI開発事業において、最高指揮官の椅子にソフトバンクGの孫正義会長兼社長が座る。ソフトバンクGは米オープンAI、米オラクル<ORCL>などと共同出資で新会社「スターゲート」を設立し、孫氏は新会社の会長に就任するという。

 AIインフラといえば、その代名詞ともなっているのがデータセンターだ。ここに大量に設置されるAIサーバーが、生成AIを紡ぎ出すインキュベーター(孵化装置)となる。生成AIはAIサーバー上で質問に対する回答を導き出すためにデータ(質問内容)に含有される特徴やパターンをディープラーニングし、そこで得たデータを基点に新たな情報コンテンツを生成するという手順を踏んでいる。きょうはデータセンター関連がにわかに輝きを増し、その象徴はフジクラ<5803.T>、古河電気工業<5801.T>などの電線株だ。データセンター向け光ケーブルや光コネクターなどの特需発生を思惑材料に株価を高騰させた。

 ここは光関連分野や半導体・AI周辺株で初動段階にある銘柄に照準を合わせるのも一法。光関連では精工技研<6834.T>やsantec Holdings<6777.T>が急伸をみせたが、逆にきょうは上昇一服となっているザインエレクトロニクス<6769.T>が押し目買い好機に映る。また、生成AI活用ビジネスに傾注し、暗号資産分野でも提携戦略を駆使して急展開を図っているギグワークス<2375.T>もトランプ関連の穴株として底値買い妙味を内包している。このほか、半導体部材や電子材料、光ファイバー配線部品など光関連デバイスを手掛ける巴川コーポレーション<3878.T>。まだほとんどノーマーク状態の超割安株で、75日移動平均線のブレークを視野に、ここは初動買いチャンスといえそうだ。

 あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約、12月の貿易統計、1月の主要銀行貸出動向アンケート、12月の首都圏マンション販売、実質輸出入動向、11月の月例報告、12月の全国スーパー売上高など。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定される。このほか国内主要企業の決算発表ではディスコ、ニデック<6594.T>が注目される。海外では韓国の10~12月期国内総生産(GDP)、米国では週間の新規失業保険申請件数に関心が集まる。なお、この日は台湾市場が休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS


本画面にて提供する情報について
本画面に掲載されている情報については、(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドが配信業者です。
本サービスに関する著作権その他一切の知的財産権は、著作権を有する第三者に帰属します。情報についての、蓄積・編集加工・二次利用(第三者への提供等)・情報を閲覧している端末機以外への転載を禁じます。
提供する情報の内容に関しては万全を期していますが、その内容を保証するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社及び情報提供者は一切責任を負いかねます。
本サービスは、配信情報が適正である事を保証するものではありません。また、お客様は、本サービスを自らの判断と責任において利用するものとし、お客様もしくは第三者が本サービスに関する情報に基づいて判断された行動の結果、お客様または第三者が損害を被ることがあっても、各情報提供元に対して何ら請求、また苦情の申立てを行わないものとし、各情報提供元は一切の賠償の責を負わないものとします。
本サービスは予告なしに変更、停止または終了されることがあります。

本サービスを提供するのは金融商品取引業者である内藤証券株式会社 (加入協会:日本証券業協会 (一社)第二種金融商品取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。