来週の株式相場に向けて=脱「米国一極集中」の行方を注視の展開か


 28日の東京株式市場は日経平均株価が前日比679円安の3万7120円と続落した。この日は3月末の配当権利落ちで、日経平均株価は300円あまり下押ししている。配当落ちの影響はあるものの東証プライム上場企業の8割強が下落しており、先行きへの警戒感は強い。

 トランプ米大統領による自動車関税の発表でトヨタ自動車<7203.T>やホンダ<7267.T>が下落し、デンソー<6902.T>やブリヂストン<5108.T>なども売られたことが響いた。来週の4月2日には米国の「相互関税」が明らかになる。市場では「2日の相互関税発表で相場にあく抜け感が出るかが焦点」との見方もある。

 ただ、やはり気になるのは「一連のトランプ関税が米国の景気を下押ししないか」(アナリスト)という点だ。すでに景気悪化と物価上昇によるスタグフレーションを警戒する声が強まり始めている。株式市場は、昨年まで「米国一強」状態だったが、足もとでは脱「米国」を探る動きがうかがえる。例えば、米ナスダックに上場するETFであるiシェアーズACWI(除く米国)ETF<ACWX>は年初から8%上昇している。同ETFは、米国を除く先進国や新興国の指数に連動しているが、米S&P500種指数やナスダック指数が高値から10%下落する「調整局面」が取り沙汰されたこととは明暗が分かれている。

 東京市場でもTOPIXの強さが目立つ。銀行株などの比重が高いTOPIXは相対的に内需株の比率が高く、半導体関連株など米国を中心とした外需の影響が強い日経平均株価に対して強含んでいる。例年、4月は海外投資家が買い姿勢を強めることから、半導体関連株などの反発が期待されるものの、足もとの金価格の上昇も示すように相場のトレンドは脱「米国一極集中」を模索しているようだ。

 上記以外の来週のスケジュールでは、4日に米3月雇用統計が発表される。更に海外では31日に中国3月製造業PMI、同非製造業PMI、1日に米2月JOLTS求人件数、米3月ISM製造業景況指数、中国3月財新製造業PMI、2日に米3月ADP雇用統計、3日に米3月ISM非製造業景況指数が公表される。

 また、国内では31日に2月鉱工業生産、4月1日に3月日銀短観、2月失業率・有効求人倍率、2日に3月マネタリーベース、4日に2月家計調査が予定されている。31日にしまむら<8227.T>、象印マホービン<7965.T>、1日にオークワ<8217.T>、2日に西松屋チェーン<7545.T>、ナガイレーベン<7447.T>、3日にキユーピー<2809.T>、クスリのアオキホールディングス<3549.T>、4日に安川電機<6506.T>、壱番屋<7630.T>が決算発表を行う。31日にジグザグ<340A.T>が東証グロース市場に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万6700~3万7900円前後。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS


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