来週の株式相場に向けて=トランプ政権の「主導権争い」に変化か、内需株シフトは加速も


 11日の日経平均株価は前日比1023円安と大幅安となった。米中の関税引き上げ合戦を背景にした摩擦激化が警戒されたものであり、10日には相互関税上乗せ分の一時停止で2894円高と歴代2位の上昇幅を記録したが、相場は再び冷や水を浴びせられた格好だ。
 
 市場では、米国市場で株式、通貨に加え債券まで売られ「トリプル安」となったことを衝撃的と受け止める声は少なくない。そんななか、関心が集まるのは7日につけた日経平均株価の3万792円が当面の大底となったのか、どうかだ。市場関係者からは「トランプ政権が9日に相互関税を部分凍結した意味は決して小さくない。これは政権内部での主導権争いに変化があったためではないか」(アナリスト)とみる声が出ている。

 トランプ関税を主導してきたとみられるのが、強硬派のナバロ大統領上級顧問だ。同氏は、相互関税を含め米国のラストベルト(さびた工業地帯)の白人労働者を意識した政策をけん引してきた。その一方、ナバロ氏に対抗しているのがベッセント財務長官などだが、「足もとの米金融市場の波乱に衝撃を受けたトランプ大統領は、ベッセント氏寄りに政策の軸足を移したようにみえる」(同)という。その象徴が、相互関税政策の修正だ。

 今後、中国との関税引き上げ合戦も合成麻薬の排除などを取引材料に、何らかの落ち着きどころを探ることを期待する声もある。もっとも、10%の一律関税などを背景に米国をはじめ世界の実態経済は悪化することが警戒されている。また、トランプ政権のドル安志向も重なり、円高は続くことも考えられる。このため、外需依存の半導体関連などハイテク株の上値は重く、日経平均株価は3万円台前半を中心とする展開が続くことが予想される。

 その一方、円高メリットも意識し内需株シフトは強まりそうだ。この日はイオン<8267.T>やライフコーポレーション<8194.T>、ヤオコー<8279.T>、それにウエルシアホールディングス<3141.T>やツルハホールディングス<3391.T>など大手スーパーやドラッグストアが買われたが、当面は円高メリットの内需株の動向が注目されそうだ。

 来週のスケジュールは、海外では14日に中国3月貿易収支、15日に米4月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に中国1~3月期GDP、米3月小売売上高、米3月鉱工業生産、17日に米4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が発表される。17日に、欧州中央銀行(ECB)理事会が開催され、18日はグッドフライデーで米国市場などは休場となる。14日はゴールドマン<GS>、15日にバンク・オブ・アメリカ<BAC>、16日にASMLホールディング<ASML>、シティグループ<C>、17日に台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>、アメックス<AXP>、ネットフリックス<NFLX>が決算発表を行う。

 国内では16日に2月機械受注、17日に3月貿易統計、18日に3月消費者物価指数(CPI)が発表される。14日に東宝<9602.T>、J.フロント リテイリング<3086.T>、高島屋<8233.T>、15日にHIOKI<6866.T>、17日にディスコ<6146.T>、18日にゲンダイエージェンシー<2411.T>などが決算発表を行う。来週の日経平均株価の予想レンジは3万1000~3万5000円前後。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS


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