来週の株式相場に向けて=「円高・日本株高」へのパラダイムシフトは起こるか


 日経平均株価は前日比352円高の3万4730円と続伸した。この日の東京市場では中外製薬<4519.T>が急伸し、1銘柄で日経平均を120円強押し上げた。同社株とファーストリテイリング<9983.T>の2社が相場の牽引役となった格好だが、この日の日経平均の上昇で直近の高値である3月26日から安値となった4月7日までの終値ベースでの下げ幅の「半値戻し」である3万4581円は明確に上回りつつある。その一方でアドバンテスト<6857.T>や東京エレクトロン<8035.T>など半導体関連株は下落し、相場の主役交代を印象付ける展開となった。

 来週は23日から24日にG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催される。同会議で加藤勝信財務相とベッセント米財務長官が為替に関する協議を行うことも予想され、円高が意識される可能性はある。また、半導体関税に関する発表も近いとみられている。
 
 円高は輸出株には業績の悪化要因となるため、嫌気される状況に当面変化はなさそうだ。しかし、市場関係者からは「円高=日本株安という相場の常識には徐々に変化が起こりつつあるのかもしれない」(アナリスト)という指摘も出ている。これまで相場は、米国という強力な磁場を持つマーケットを前提に語られてきた。けれども、「米国債の下落が象徴するように、いまや米国から資金は脱出しようとしている。このような状況は今までは考えられなかったことだが、資金の逃避先として日本円と日本株がともに買われるということも現実として起こり得るのではないか」(同)という。

 目先的にはともかく、中長期的にはこの日の相場でみられたように薬品や小売り、建設、不動産など内需株が主導する形で日本株が上昇する可能性はある。長らく低迷が続いていた、内需株が多い中小型株も東証グロース市場250指数は直近の3月26日高値の更新が目前に迫っている。円高下での日本株上昇というパラダイムシフトも徐々に意識しておくべきなのかもしれない。

 上記以外の来週のスケジュールは、海外では21日はイースター・マンデーで欧州市場などは休場。23日に米4月S&Pグローバル製造業PMI、ベージュブック(米地区連銀経済報告)、24日に独4月Ifo景況感指数、米3月耐久財受注、米3月中古住宅販売件数、25日にミシガン大学消費者態度指数が発表される。22日にテスラ<TSLA>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、23日にIBM<IBM>、ボーイング<BA>、テキサス・インスツルメンツ<TXN>、24日にインテル<INTC>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、アルファベット<GOOG>が決算発表を行う。

 国内では、21日に3月首都圏新築マンション発売、24日に3月企業向けサービス価格指数、25日に4月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表される。22日にオービック<4684.T>、23日にファナック<6954.T>、シマノ<7309.T>、24日にニデック<6594.T>、野村総合研究所<4307.T>、25日にアドバンテスト<6857.T>、キーエンス<6861.T>が決算発表を行う。22日にデジタルグリッド<350A.T>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万4200~3万5500円前後。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS


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