明日の株式相場に向けて=円高・金市況高で見えてきた新たな投資航路


 きょう(22日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比59円安の3万4220円と続落。しかし、値上がり銘柄数が全体の7割近くを占めており、TOPIXは小幅ながらプラス圏で着地している。米国ではトランプ米政権に対する悲観的な見方が強まってきた。トランプトレードと囃(はや)されたブル相場はどこに消えたのか。米国の高関税政策がトランプ流のディールの材料に過ぎないという、ある種、希望的観測に基づいたスマートな捉え方をする時間帯は既に過ぎ去っている。融通性には程遠い現実。トランプ米大統領の打ち出す政策の数々は千尋の谷底に丸太を転がすがごとしで、絡みつくものすべてを弾き飛ばす。これでは世界はついて行けない。解決の可能性としては、トランプ氏自らが考えを改めブレーキを踏むよりないが、その選択肢は少なくとも現状では見えてこない。

 何と言っても足もとの円高が止まらない。これは円高というよりはドルの独歩安である。米国という巨大国家からのキャピタルフライトで、例えばドルを金(ゴールド)に変える、ドル安・金市況高にも如実に映し出されている。テクニカル的には1ドル=140円ラインが重要ポイントであり、ここを切ってくると抵抗ラインとなるフシが見当たらず、2023年1月の1ドル=130円割れまで視野に入れざるを得なくなってくる。

 きょうは米国株市場でNYダウやナスダック総合株価指数いずれも急落に見舞われ、外国為替市場では一段とドル安・円高が進むなか、これまでの東京市場であれば悲観一色に染まっても不思議のない外部環境であった。だが、終わってみれば想定以上に強さを発揮したといえる。相場の華であった半導体関連がどうにも復活の号砲を鳴らす気配がないという認識が、むしろ良い意味合いで浸透してきた。では何を買えばいいのかというテーゼを投資マネーが探り始めている。半導体株を諦めボートピープル化した資金が、過激ともいえる円高局面に遭遇したことで内需系の銘柄に向かい始めている。

 くしくも3月期決算企業の決算発表がゴールデンウィーク明けから本格化してくるが、ハイテクや自動車など海外売上高比率の高い銘柄については、25年3月期の業績はともかく、26年3月期のガイダンスが非常に困難であり、例えば想定為替レートをどうするのかという問題が生じてくる。今期決算については会社側も目隠しをしたまま歩を進めるスイカ割りのような状況に置かれている。ここに投資資金を振り向ける難しさは個人よりも機関投資家が痛感するところで、大口資金が内需株にシフトする動きを助長しそうだ。

 冷静に見て賃金の上昇が物価上昇に追いついているとは思えず、その意味で耳をそばだてれば日本もスタグフレーションの足音は聞こえないわけではない。内需株優位といっても決して楽観できるようなムードではないが、「訪日観光客が増勢一途となる日本の人気は嬉しい誤算でもあり、投資という観点に立っても米国からの資金逃避先として日本が除外される蓋然性には乏しい」(中堅証券ストラテジスト)という指摘もある。全体売買代金の減少が示唆するように、円高メリット株が主役の舞台に上がるシナリオが闊歩するような状況には遠い。それでも円高恩恵業種である紙パルプ株が、にわかに一斉高に買われる動きは確固たるテーマ物色の流れが存在することを物語っている。

 円高メリット株で目を配っておきたいのは、外食では戻り初動のサイゼリヤ<7581.T>。また、大王製紙<3880.T>など紙パ株人気の流れでは、ハビックス<3895.T>なども動兆。小売りでは新値街道復帰を目前に捉えたコーナン商事<7516.T>。更に、電動アシスト自転車の人気が高まるなか、あさひ<3333.T>の1300円台もみ合いは仕込み妙味がありそうだ。このほか、金市況高もドル安連動の中期的な流れとして注目で、テーマ買い対象としては、人気が一段と加速してきたアサカ理研<5724.T>の押し目。松田産業<7456.T>も引き続きマークしておきたい。金関連のETFでは現物国内保管型で安心感のある純金上場信託<1540.T>の順張りも一法だ。

 あすのスケジュールでは、2月の第3次産業活動指数が後場取引時間中に開示される。海外ではインドネシア中銀の政策金利発表、4月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)、4月の独PMI、4月の仏PMI、4月の英PMI、4月のユーロ圏貿易収支、G20財務相・中央銀行総裁会議(~24日)、4月のS&Pグローバル米製造業PMI、3月の米新築住宅販売件数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などにマーケットの関心が高い。また、米5年国債の入札も実施される。(銀)

出所:MINKABU PRESS


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