来週の株式相場に向けて=「インフレ」への基調転換を評価、エヌビディアが焦点に


 22日の東京市場で日経平均株価は前日比23円高と小反発。今晩のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演待ちで、様子見状態が続いた。来週は27日に米半導体大手エヌビディア<NVDA>の決算発表も予定されており、なお神経質な展開が続く可能性はある。

 ただ、足もとの東京市場はホットな状況が続いている。今週は18日に日経平均株価は終値で4万3714円をつけ最高値を更新。12日に1年1カ月ぶりに高値を塗り替えた後、一気に上値を切り上げた。日本株買いの牽引役となったのは海外投資家で、年初から4兆円強の買い越しを演じている。特に、7月第4週までは17週連続買い越しを記録した。この外国人買いの背景には「日本経済がインフレへと転換したことを評価する動きがある」(アナリスト)とみられている。

 象徴的なのが、4~6月期国内総生産(GDP)が名目ベースでは年率5.1%成長となったことだ。名目GDPと株式相場には連動性があることが指摘されている。特に、「インフレ経済下では内需が独立性を持ち始める」(同)ともいわれ、日本が外需一辺倒から脱しつつあることを海外投資家は評価しているのだろう。
 
 足もとで三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>など銀行株、イオン<8267.T>など消費関連株が上昇し、内需比率が高いTOPIXが強含んでいることが足もとの相場を表している。日本経済のインフレへのパラダイムシフトを評価し、海外投資家の日本株買いは中長期的になお続くことが予想される。

 とはいえ、世界株高の基調にあるのは米国の金融緩和期待とAI革命だ。それだけに、ジャクソンホール会議とエヌビディア決算からは目が離せない。もちろん、東京市場も足もとの急上昇で日経平均株価の今期予想PERは17倍台半ば、騰落レシオ(25日移動平均)は151%と過熱感は強い。それだけに、米国発の2大材料の結果次第では目先調整局面入りも考えられそうだ。

 上記以外のスケジュールでは、海外では25日に米7月新築住宅販売件数、26日に米8月消費者信頼感指数、28日に米4~6月期GDP改定値、米7月中古住宅販売仮契約、29日に米7月個人消費支出(PCE)物価指数が発表される。27日にクラウドストライク<CRWD>、ヒューレット・パッカード<HPQ>、スノーフレイク<SNOW>、28日にデル・テクノロジーズ<DELL>、ギャップ<GAP>が決算発表を行う。

 国内では25日に7月全国百貨店売上高、28日に2年国債入札、29日に7月失業率・有効求人倍率、8月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表される。27日にダイドーグループホールディングス<2590.T>、29日にピープル<7865.T>、トリケミカル研究所<4369.T>が決算発表を行う。来週の日経平均株価の予想レンジは4万1800~4万3400円前後。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS


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