明日の株式相場に向けて=SQ絡み、アドテスト一人舞台に思惑錯綜


 きょう(9日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比184円安の4万3459円と4日ぶり反落。メジャーSQ算出を控えるなか、日経平均4万4000円のコールが活況でこれまでマーケットでも話題となっていたが、きょうはそのフシとなる4万4000円大台ラインを朝方取引開始後わずか5分後に難なくクリアした。SQを前に勝負ありという格好となったのだが、売り方の撤退による踏み上げ相場の動きが一巡すると、日経平均は動きを一変させた。

 一時は500円を超える上昇で4万4185円まで上値を伸ばしたものの、そこでにわかに夢から醒めたような状態となり、後場に入ると外国為替市場でドル安・円高に振れたことも手伝ってマイナス圏に沈むという荒れた値動きに。前週後半から週明けまでの3営業日で1700円あまりも水準を切り上げ、騰落レシオ(日経225ベース・25日移動平均)も147%まで上昇していたことを考えれば、ここはいったん手仕舞いの動きが出て当然とはいえるのだが、4万4000円台まで一気に噴き上げた段階では、まさか終値で4万3714円の最高値を更新できずに、ほぼ安値引けとなる結末は想定しづらかった。くしくもモメンタム相場の見極めの難しさが色濃く映し出される格好となった。

 東京市場では石破首相の退陣表明を受けて週明けから買いが加速したが、次期総裁を決める総裁選がどうなるか、またその後の政権の枠組みがどうなるかが容易に見えず、むしろこれまでの「買うから上がる、上がるから買う」という需給オンリーの上昇トレンドにストップがかかる契機となった。きょうは朝方からアドバンテスト<6857.T>が突出した売買代金で大幅高となり上場来高値を更新し、日経平均を単独で押し上げるような格好となったが、「ディスコ<6146.T>やレーザーテック<6920.T>といった他の半導体主力株の動向をみる限り、アドテストだけ集中人気となることに違和感は拭えない」(中堅証券マーケットアナリスト)という指摘もあった。この4万4000円をつけにいくプロセスで踏み上げを誘発する道具に使われた印象である。もちろん投資家心理の変化も影響した。騰落レシオなどのテクニカルだけでなく、日経平均のPERは18倍台に突入したところで、さすがにバリュエーション面から今の株価上昇は蓋然的ではないという認識が広がったともいえる。

 前週末に開示された8月の米雇用統計が想定外に弱い内容であったことから、米景気減速への懸念が高まったが、これがもし米国株市場が従前と変わらず強気優勢の地合いであれば、利下げ期待を高めるとの見方でポジティブに捉えることも可能だったはず。同日のNYダウの値動きを見る限りそこまで強気には傾いていないということを証明した。これは目先最高値圏にあるナスダック総合株価指数も同様で、上値が徐々に重くなっており見た目ほどイケイケの状態ではなさそうだ。

 今週は10日に8月の米生産者物価指数(PPI)、11日に8月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、この内容と米株市場の反応が注目されるところ。CPIで言えば前年同月比で2.9%上昇、前月比で0.3%上昇(コア指数は3.1%上昇、0.3%上昇)がコンセンサスだが、「予想から大きく上振れても下振れても、マーケットには風向きが悪い」(ネット証券アナリスト)という声もある。つまり、大きく上振れた場合、今月のFOMCでの0.25%の利下げはともかく、0.5%の線は当然消えることになり、年内あと2回のFOMCで連続利下げの思惑も後退する。他方、大きく下振れた場合は、今回0.5%の利下げが濃厚となるが、今度は米景気の急減速が警戒されるという構図だ。これまでの逆パターンで「悪いとこ取り」の相場になる可能性があり得るとの見方である。

 メジャーSQを巡る攻防が既に“戦い済んで日が暮れた”状態になったとしても、国内政局を巡るニュースヘッドラインと微妙な米経済を横にらみに今週はまだ波乱に身構える必要がありそうだ。強い株につくのが基本だが、当面下値に対しても抵抗力を発揮しやすいのは9月末に向けた権利取り絡みの銘柄であり、その観点で高配当利回り株はターゲットして有力。新家工業<7305.T>、西川ゴム工業<5161.T>、UTグループ<2146.T>などはその候補となる。また、番外で12月期決算企業ながら半導体関連復権の流れに乗りやすいTHK<6481.T>も合わせて注目しておきたい。株価位置的に75日移動平均線をサポートラインに売り物をこなし値ごろ感もあり、何といっても6%強の高配当利回りは魅力といえる。

 あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントは見当たらないが、前場取引時間中に5年物国債の入札が行われる。海外では8月の中国消費者物価指数(CPI)と8月の中国生産者物価指数(PPI)が注目されるほか、中国国際サービス貿易交易会が14日までの日程で開催される。一方、米国では8月の生産者物価指数(PPI)にマーケットの関心が高く、このほか7月の米卸売在庫・売上高も開示される。また、米10年物国債の入札も予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS


本画面にて提供する情報について
本画面に掲載されている情報については、(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドが配信業者です。
本サービスに関する著作権その他一切の知的財産権は、著作権を有する第三者に帰属します。情報についての、蓄積・編集加工・二次利用(第三者への提供等)・情報を閲覧している端末機以外への転載を禁じます。
提供する情報の内容に関しては万全を期していますが、その内容を保証するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社及び情報提供者は一切責任を負いかねます。
本サービスは、配信情報が適正である事を保証するものではありません。また、お客様は、本サービスを自らの判断と責任において利用するものとし、お客様もしくは第三者が本サービスに関する情報に基づいて判断された行動の結果、お客様または第三者が損害を被ることがあっても、各情報提供元に対して何ら請求、また苦情の申立てを行わないものとし、各情報提供元は一切の賠償の責を負わないものとします。
本サービスは予告なしに変更、停止または終了されることがあります。

本サービスを提供するのは金融商品取引業者である内藤証券株式会社 (加入協会:日本証券業協会 (一社)第二種金融商品取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。