明日の株式相場に向けて=再び波高まる半導体、目先材料株シフトも


 きょう(13日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比218円高の5万1281円と続伸。前日は欧州株市場が全面高でストックス・ヨーロッパ600が連日の最高値、米国株市場ではNYダウが最高値街道を走っており、大きくリスクオンに傾いていた。ただ、ナスダック総合株価指数だけがこれについてこれず、小幅ながら続落。続落とはいっても上向きの25日移動平均線の上空に位置しており、トレンドが変わったような兆しはない。

 しかし、日米市場ともにAI周辺株に跛行色が確認され始めたのは確かだ。振り返って、今週11日の引け後にソフトバンクグループ<9984.T>が中間期の決算発表を行ったところから、ちょっとした流れの変化が出てきた。ソフトバンクGは同期間として過去最高水準となる最終利益を叩き出し、併せて株式4分割を発表したところでは、同社株の上値追い復活に対する期待が膨らんだのは自然な成り行きであった。しかし、結果として株価は25日移動平均線との下方カイ離を縮小するどころか、一段と下値を探る展開となってしまった。後からであれば理由はいくらでもつくのだが、ありきたりな材料出尽くしとは少々異なる感じである。事実、11日引け後の同社株の時間外取引では大きく買いが優勢だったわけで、一夜明けて寄り前の気配も4%程度、前の日の終値を上回って推移していた。ところが、フタを開けてみるとウリ気配からスタートするという目を疑う展開で、株の持つ悪魔的な部分が如実に映し出された。個人投資家事情に詳しいネット証券関係者によると「ソフトバンクGに対しロングポジションで決算プレー(決算発表跨ぎ)に臨んだトレーダーは結構多かったが、前日の引け後に歓喜したのが糠喜び(ぬかよろこび)となってしまい、ショックを受けた向きも多かったようだ」とする。明確に流れが変わるような悪材料はなかったが、保有していたエヌビディア<NVDA>の株式を全株売却して、オープンAIに投資するという、相方チェンジのような一連の動きが嫌気された感が強い。

 そうこうしているうちに、来週19日にエヌビディアの決算発表を控える。11日の取引ではソフトバンクGによる保有株の全外しが株価を揺さぶったが、「エヌビディア株に関して現状はいくらでも受け皿がある」(中堅証券ストラテジスト)とし、実際、翌12日は落ち着きを取り戻した。とはいえ「フラグが立った」と警戒する声も聞かれる。最近のジェンスン・ファンCEOの発言内容などを聞く限り、最先端AI半導体「ブラックウェル」や次世代半導体「ルービン」などに対する自信は揺らぎなく、好決算発表が担保されているようにも見えるのだが、株価がどう反応するかは分からない。既に事前の市場期待がモンスター化していることで、これを倒し切れる内容が伴うのかどうかは未知数である。

 なお、きょうの引け後にキオクシアホールディングス<285A.T>の決算が開示されたが、コンセンサスを大きく下回ったことで、時間外で大幅に売り込まれる格好となっている。同社株は今週11日ザラ場に1万4405円の最高値を形成したばかりだが、このままだとアダ花を咲かせたことにもなりかねず、しばらくは半導体関連全般も向かい風を覚悟しておく必要があるかもしれない。

 一方、そうしたなかにあって、きょうの東京市場では銀行や建設など内需株への資金流入も目立っている。高市政権の財政出動を伴う内需刺激策に対する期待が株式市場にも反映され始めた。好業績株は半導体セクターから探すことを義務づけられているわけではない。また、半導体セクターと近い関係にあるが相対的に強い動きが目立つのがデータセンター関連の一角だ。通信用ケーブルを手掛ける電線株はその代表で、きょうはSWCC<5805.T>が連日のストップ高に買われた。当欄で前日に取り上げた平河ヒューテック<5821.T>も大幅高となったがPERやPBRなどに依然として割安感が漂う。

 このほか個別材料株では10月下旬にも取り上げたサンセイ<6307.T>に上値の伸びしろが感じられる。防衛や船舶関連のテーマに乗って依然として人気化素地があり、中長期でマークしていきたい。このほか、決算通過組では高配当利回りで業績も絶好調な国際計測器<7722.T>なども投資妙味が大きい。また、note<5243.T>はジェットコースターのような相場つきとなっているが、コンテンツ関連の一角で時流に乗るユニークなビジネスモデルに着目。トップラインが伸び続けるなか、営業黒字化を果たした前期に続き、25年11月期は前期比3.8倍増益を見込んでいる。リバウンド局面にうまく乗りたい。

 あすは株価指数オプション11月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。このほかのスケジュールでは、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われるほか、後場取引時間中には9月の第3次産業活動指数が開示される。また、午後3時に10月の投信概況が発表される。主要企業の決算発表では東レ<3402.T>、日本郵政<6178.T>、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>、第一生命ホールディングス<8750.T>などに市場の注目が集まりそうだ。海外では10月の中国70都市新築住宅価格、10月の中国小売売上高、10月の中国工業生産高、10月の中国固定資産投資、10月の中国不動産開発投資のほか、7~9月期ユーロ圏実質国内総生産(GDP)改定値が発表される。(銀)

出所:MINKABU PRESS


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