明日の株式相場に向けて=「氷上ドリフト相場」年度替わりは要警戒


 きょう(26日)の東京株式市場は日経平均株価が前営業日比145円安の5万3603円と3日ぶり反落。つかみどころのない相場というよりない。氷上をドリフトするように無機質に株価が振れまくっており、ちょっと手を出しにくいというのが個人投資家に共通する意見ではないかと思われる。強弱観が対立するなか、全体相場がギシギシと音を立てて上下動を繰り返しているのであれば、まだそれは相場の活力が感じられ健全ともいえるのだが、今のマーケットは値動きこそ荒いが投資家心理が錯綜するような場面もなく、痛痒を感じないAIが勝手に振り回し、それを人間が白けた目で眺めているという体(てい)である。

 前日は米国株市場でNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに上昇したが、それよりも半日早く欧州株市場がほぼ全面高買われた。オオカミ少年化しているトランプ発言に対する反応は、以前よりは大分鈍くなり、眉唾(まゆつば)で買いをいれているようなところはあるが、まだ現状はイラン停戦の思惑に絡むニュースフローが相場の方向性を左右する最有力事項であることに変わりはない。ドイツの主要株価指数であるDAXやフランスのCAC40などは、いずれも週明け23日のザラ場に今年の安値を形成したものの、同日に大陽線を形成して底入れを示唆。その後も首尾よくリバウンド局面に移行した。中東有事に対して目が慣れてきたというべきか、流れが変わりつつあるようにも見えた。しかし、どうも様子がおかしい。

 日本を含むアジア株市場全般は前日に欧米に先立って上昇していた反動もあり、きょうはリスクオンがそうは続かないという見方が強かった。東京市場でも朝方取引開始前の日経225先物の値動きは揺れに揺れた。フタを開けて見れば強調展開でスタートし胸をなでおろしたのも束の間、日経平均は5万4000円台に乗せるやいきなり上値が重くなり、その後も大台攻防で粘ったものの、前場取引終盤から諦めたように下に放れた。市場関係者は「日経平均は引き続き原油価格にリンクされた値動きであり、きょうはWTI原油先物価格が取引時間中にジリジリと水準を切り上げ1バレル=92ドル台まで上昇したことから、株価の方にはインデックス売り圧力が働き、押し下げ要因となった」(中堅証券ストラテジスト)と指摘する。ほぼ全量を輸入に頼る日本や韓国などはホルムズ海峡が封鎖された状態が続けば、WTI原油よりもはるかに高コストのオマーン産原油などで代替するよりなく、為替の通貨安(円安、ウォン安)と相まってスタグフレーション懸念が再燃する。日経平均はこうしたリスクシナリオをおぼろげながら想起させる不安定な軌道を描いた。

 もっとも、日本の場合は石油備蓄量に関して言えば国際的にもトップクラスであり、その点ではまだ余裕がある。しかしながら「ベトナム、インドネシアなどの東南アジア諸国は備蓄日数で1カ月程度しかない国が多く、ホルムズ問題が長引けばアジア通貨危機に発展する危険性もある」(ネット証券アナリスト)という。こうした状況が現実に警戒されるようになった際、日本株が選別して買われるわけではなく“合わせ切り”の対象となるため、これも先行きに不安を募らせる。

 きょうは日経平均が後場後半に下げ足を強め、午後2時半ごろには570円あまりの下落幅となった。最終盤は下げ渋ったが、それでもクロージングオークションの入る直前の時点で400円ほど下げていた。だが、最後の5分間で急速に下落幅を縮小し、結局145円安で着地している。引けの板寄せで先物絡みのショート筋による買い戻しと、駆け込みの配当権利取りの動きが集中したことが窺われる。

 今週は配当権利取りや配当再投資の動きが結構活発に観測されていたようだ。しかし、きょうの朝高後の崩れ足は、そうした権利取り絡みの買いニーズが発生していたにもかかわらず、それを呑み込んでなお売りが覆い被さってきた。これは4月新年度相場での逆風を暗示させる事象だ。権利落ちによる純粋な下げ圧力に加え、今年は年度替わり早々に機関投資家の“益出し売り”が出やすいという観測がある。長期金利上昇に伴い、債券の含み損を抱える機関投資家が多いため、含み益がある株式を売って相殺するという動きが予想されている。気が滅入る話だが、しからば、これに呼応した戦略というものもある。考えようによってはこうしたファンダメンタルズから遊離したイレギュラーな売りが出る時は、株を安値で拾うチャンスともなる。仮に年度初めにバーゲンセールが訪れると仮定して、好実態株の選別を今から進めておくのも一法である。

 あすは3月の権利付き最終売買日にあたり、来週30日から実質4月商いとなる。このほかのスケジュールでは、3カ月物国庫短期証券の入札が前場取引時間中に行われ、後場取引終了後には日本取引所グループ(JPX)山道最高経営責任者(CEO)の記者会見が予定されている。また、財務省による国債投資家懇談会(国債の主要な買い主体である投資家と意見交換)も行われる。なお、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にセイワホールディングス<523A.T>が新規上場する。海外では1~2月の中国工業企業利益、2月の英小売売上高のほか、米国では3月の消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)が開示される。(銀)

出所:MINKABU PRESS


本画面にて提供する情報について
本画面に掲載されている情報については、(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドが配信業者です。
本サービスに関する著作権その他一切の知的財産権は、著作権を有する第三者に帰属します。情報についての、蓄積・編集加工・二次利用(第三者への提供等)・情報を閲覧している端末機以外への転載を禁じます。
提供する情報の内容に関しては万全を期していますが、その内容を保証するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社及び情報提供者は一切責任を負いかねます。
本サービスは、配信情報が適正である事を保証するものではありません。また、お客様は、本サービスを自らの判断と責任において利用するものとし、お客様もしくは第三者が本サービスに関する情報に基づいて判断された行動の結果、お客様または第三者が損害を被ることがあっても、各情報提供元に対して何ら請求、また苦情の申立てを行わないものとし、各情報提供元は一切の賠償の責を負わないものとします。
本サービスは予告なしに変更、停止または終了されることがあります。

本サービスを提供するのは金融商品取引業者である内藤証券株式会社 (加入協会:日本証券業協会 (一社)第二種金融商品取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。