明日の株式相場に向けて=「キオクシア・エフェクト」で化ける株


 週明け18日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比593円安の6万0815円と3日続落。一時は1000円を超える下げをみせ6万円トビ台前半、つまり6万円大台攻防の様相を呈する場面もあったのだが、さすがにそこでは押し目買いやショートカバーが優勢となり下げ渋った。今、世界的に株式市場が戦々恐々としているのはホルムズ海峡を巡る中東有事ではない。マーケットはいかなる事象に対しても“慣れる”のが得意だ。ホルムズ問題は原油市況の動向とも密接で、企業業績に影響するネガティブ案件として目が離せないことに間違いはないが、投機筋の関心が希薄化していることもまた事実である。

 これに代わって大いに気にされているのが、地球規模で水かさが増すように一斉に上昇基調を強める長期金利の動向だ。英国では既に5%台の推移が常態化しそうである。米国でも直近で4.6%近くまで水準を切り上げた。日本国内では新発10年債利回りが2.8%まで上昇し、約29年半ぶりの高水準と騒がれている。常識的には金利上昇局面では株式の相対的な割高感が高まるため、投資家は逆風に晒されやすい。ハイテク系の銘柄は金利敏感株の範疇で括られることはあまりないが、実際は売り対象となることが多い。とりわけ、中小型のグロース株にはマイナスに働くというセオリーが取り沙汰される。

 また、金利上昇はリターンリバーサルの契機となる。これまで突出して買われていた日経平均への風当たりが強くなるのは避けられず、したがって、日経平均の構成比上位にあるAI・半導体関連はいったん利食いもやむなしという場面なのだ。だが、内需株やバリュー株へのセクターローテーションが起きるとしても、それは小規模なものにとどまりやすい。例えば三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>が最高値近辺にあるが、ここからレーザーテック<6920.T>やキオクシアホールディングス<285A.T>のような“倍々ゲーム”の大相場に発展することは考えにくい。超長期的には徐々に資金の平坦化(AI・半導体関連への一極集中が解消されること)はあるが、それは相当な時間を要するはずで、マーケットの本音は次世代成長産業の株価が調整局面に突入している間、避難目的で資金シフトしてお茶を濁しておくという程度のものだ。金融バブルであれば話は違うが、今は、何合目かは分からないが“AI・半導体株バブル”の道半ばである。この道の先には投資マネーにとって巨大なオアシスがまだいくつも存在する、と考えている向きは多い。

 米国では今週20日の引け後、日本時間では21日の午前5時台にエヌビディア<NVDA>の26年2~4月期決算が発表される。これがまた世界的なお祭りイベントとなっている。今回も好決算は確実視されるが、次期5~7月期のガイダンスとグロスマージン(利益率の変動)に対する注目度が高い。AIデータセンター部門の成長余地もマーケットの関心が集中する領域だ。このエヌビディア決算プレーの前哨戦となったのが、前週末15日に開示されたキオクシアの決算発表である。

 キオクシアの決算は驚異的な内容であった。AIデータセンターの建設ラッシュは生成AIを生み出すAIサーバーがその中枢を担う。このストレージ部分であるSSDはNAND型フラッシュメモリーの塊のような記憶装置であり、キオクシアに爆発的な収益機会をもたらしている。同社が15日に発表した26年4~6月期業績は売上高にあたる売上収益が前年同期比5倍を予想、これだけでも耳を疑うが最終利益は何と48倍の8690億円になる見込みと発表、4000億円強が事前コンセンサスであったから、言うまでもなく強烈なポジティブサプライズとなった。前週末の欧米株市場で半導体関連が売り込まれ、東京市場でも時価総額上位の半導体主力株は軒並み弱かったが、キオクシアだけは異空間で、値幅制限上限に最後まで張り付いた。明後日のエヌビディアの決算も推して知るべしというところだが、決算プレーというのは発表内容を受け株価がどう動くかというところまでがワンセットだ。キオクシアの残像がエヌビディアのハードルを更に上げた可能性もあり、ここら辺は蓋を開けて見なければ分からない。

 きょうは、意外と見落とされがちだが、キオクシア関連株も買われていた。当欄でも以前に取り上げたティアンドエスグループ<4055.T>、クエスト<2332.T>はいずれも12%以上の急騰を演じ、ジャパンマテリアル<6055.T>も高い。揃って陰線をつけたのは全体の地合いに引きずられたものだが、キオクシア・エフェクトはもうしばらく隠れテーマとなるかもしれない。関連株としてリガク・ホールディングス<268A.T>、アルゴグラフィックス<7595.T>のほか、三井ハイテック<6966.T>が面白い存在だ。三井ハイテクは外資系が投資判断を「売り」に格下げした後に、戻り足に転じるという株式市場の「あるある」パターン。きょうは軽い押し目を入れているが、チャートなどテクニカル的には食指が動く。

 あすのスケジュールでは、1~3月期国内総生産(GDP)速報値が朝方取引開始前に開示される。また、1年物国庫短期証券の入札が予定されている。後場取引時間中には3月の鉱工業生産確報値、3月の第3次産業活動指数が発表される。海外では1~3月期の英失業率、3月のユーロ圏貿易収支にマーケットの関心が高い。米国では4月の仮契約住宅販売指数が発表されるほか、ウォラーFRB理事がデスカッションに参加予定でその発言内容に耳目が集まる、個別にホーム・デポ<HD>の決算発表も行われる。(銀)

出所:MINKABU PRESS


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