明日の株式相場に向けて=「韓国KOSPI超連動」キオクシアの行方


 きょう(8日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1437円安の6万6819円と大幅安で安値引けとなった。それにしても目まぐるしい地合いである。日中値幅の大きさは今に始まったことではないが、日経平均がプラス圏とマイナス圏をせわしく行き来する展開は、現象面では典型的な高値波乱の様相を呈している。

 大きく下放れるかと思えば踏みとどまり、かと言って目先売り物を枯らしてリバウンド局面に移行するかと思えば、買いは続かず再び下値を摸索する。きょうは前日終値を上回って推移する時間帯は短かったが、朝方の取引開始直前の日経225先物が1000円超の下落をみせていたことを考えると、寄り後すぐに上値指向に変わったのは、ショート筋にすれば反射的に買い戻してしまうような意外感があった。しかし、今週はETF分配金捻出の売りニーズが喧伝されるなか、週末にオプションSQ算出を控え、買い方の立ち位置では戦々恐々である。そうした心理を見透かしたように、取引最終盤、第4コーナーを回ったところで大口の売りが浴びせられた。

 例によって東京市場との時差がない韓国株市場の値動きに翻弄された。朝方に日経平均が安く寄り付いた後に切り返す過程で、韓国KOSPIと見比べれば、まさにそのまま鏡に映したような値動きである。どっちが主導したかは明らかで、SKハイニックス<SKHY>とサムスン電子の下落で幕を開けたKOSPIであることは間違いない。KOSPIは朝方リスクオフ一色で始まった後は急速に買い戻されプラス圏に浮上したが、一時力(いっときぢから)のパフォーマンスにとどまり、そこからの崩れ足は容赦のないものだった。当然のように日経平均もこれに追随した。一時6%超の急落となったKOSPIと比べ、日経平均の下落率は1%台にとどまっていたのは若干の救いであったが、それも最後に売りが加速し、上ヒゲ陰線で25日移動平均線を下放れる形を余儀なくされた。

 今の東京市場のバロメーターは別次元の売買代金をこなすキオクシアホールディングス<285A.T>である。朝方はウリ気配スタートとなったが、その後は切り返し一時5000円あまり上昇する場面があった。同社株に関しては足もとの業績がどんなに良かろうとも、それは既に織り込み済みの話でありカタリストにはなり得ず、モメンタム相場の化身といっても過言ではない。トレーダーは秒単位でステップを切り替えるタップダンサーと対峙するようなもので、「超短期投資家にとっては、日足チャートのテクニカルなど眼中にない」(中堅証券マーケットアナリスト)というが、それはその通りであろう。

 しかし、きょう大きく下げれば「追い証絡みの売りが噴出する」(同)という場面でもあった。その投げを待っている投資家もいたはずだが、きょうは徳俵で踏ん張った格好となった。超短期目線ではなく、スイングトレードの観点に立てばやはりキオクシアのテクニカル的な急所は押さえておかなければならない。今月3日の大陽線が強力なメルクマールとなっている。この大陽線は買い方の希望の象徴ともいえ、したがってこの日の安値6万7190円を終値で下回ってきた時は、投げ売りのスイッチが入りやすく要警戒となる。中長期的には、これはあくまでMAX弱気のシナリオだが、5月7日にストップ高で開けたマドを埋めに行くところまで、売り方は狙う可能性がある。最近、日本市場全体で過去最高水準である7兆円超に積み上がった信用買い残(6月26日申し込み現在)が話題となった。この週の増加額である5400億円はその60%あまりがキオクシアによるものであった。直近週(7月3日現在)では整理が進んだとはいえ、キオクシアの信用倍率は依然として22倍と極めて買い長の状態にある。同社株の買い残が投げ売りの洗礼を浴びることなく、整理進捗ができるかどうか、そこが今後の相場を占ううえでも重要なポイントとなる。

 きょうは日経平均が1400円以上の下落で約1カ月ぶりの安値に沈んだ割にプライム市場の値下がり銘柄数は960と全体の6割強にとどまり、セクターローテーションの流れが機能しているように見えなくもない。しかし、売買代金上位30傑をみると株価が前日の終値を上回っていた銘柄は何とみずほフィナンシャルグループ<8411.T>ただ1社のみであった。一極集中のAI・半導体関連から横溢した投資マネーが必ずしもマーケットに滞留していないのは気懸りだ。SQ通過後に流れが変わるのかどうか。今は安易に値惚れ買いに動かず、ファーストリテイリング<9983.T>やセブン&アイ・ホールディングス<3382.T>、イオン<8267.T>、良品計画<7453.T>など消費関連及び、安川電機<6506.T>など主力級企業の決算発表を吟味しながら、次の戦略を考えるよい時期かもしれない。

 あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約、6月のマネーストックがいずれも朝方取引開始前に公表されるほか、前場取引時間中に5年物国債の入札が行われる予定。また、午前中に三鬼商事による6月のオフィス空室率が発表される。後場取引時間中には6月の工作機械受注額が開示される。なお、この日は日銀の支店長会議が開催され、7月の日銀地域経済報告(さくらリポート)に耳目が集まる。海外では6月の中国消費者物価指数(CPI)、6月の中国卸売物価指数(PPI)が発表される。マレーシア中銀が政策金利を決定する。また、米国では週間の新規失業保険申請件数や6月の米中古住宅販売件数が開示され、米30年物国債の入札も行われる。このほか、NY連銀のウィリアムズ総裁がディスカッションに参加する。(銀)

出所:MINKABU PRESS


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